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いい夫婦の日 二人三脚で理容室営む田中さん夫妻

二人三脚で店を切り盛りする田中栄二さんと美知子さん。仲良しの2人の人柄を慕って訪れる常連客も多い(金野和彦撮影)

 帯広市内の田中栄二さん(62)、美知子さん(62)夫妻が営む「ヘアーサロンタナカ」(柏林台北町2)は今年、栄二さんが現店舗近くの借家で営業を始めて40年を迎えた。おしどり夫婦の人柄とアットホームな雰囲気の店を慕い、長年通う常連客も多い。栄二さんは「お客さまのおかげで続けて来られた。お茶を飲みながらゆっくり過ごしてもらえる昭和初期の床屋さんのような店づくりを目指したい」と話し、美知子さんは優しくうなずいている。きょう22日は「いい夫婦の日」-。

 帯広生まれの栄二さんは中学を卒業後、市内の理容室に弟子入り。通信教育で学び、国家試験に合格後、21歳で上京した。新宿の理容室で2年間住みこみで働き、都内の競技大会で入賞を果たすなど腕を磨いた。帯広にUターン後、借家での営業を経て1975年に現在地に同店をオープンした。

 翌76年に知人の紹介で知り合った美知子さんと結婚。シャンプーやマッサージなど散髪以外の仕事をこなす美知子さんは元事務職員で、「初めは『いらっしゃいませ』の声も出なかった。慣れるまではお客さんと話すのが大変だった」と振り返る。

 開店して数年は借金もあり、朝から晩まで働きづめだった。店の定休は平日のため、2人の子供の学校行事にも夫婦そろって参加することはなかった。「夕食は遅い時間に外食で済ませることもあったが、文句を言われたことがない。お父さん(栄二さん)が優しかったからやって来られた」と美知子さんが感謝すれば、「子育てはお母さん(美知子さん)が全てしてくれた」とねぎらう栄二さん。

 小学生だった客が今では高校生の父親となるなど、長年にわたって通う常連客が市内外にいる。芽室町の会社員谷口道則さん(63)もその1人で、「2人ともおしゃれで優しくて人を引き寄せる。ここしか考えられない」と語る。

 店があるため、これまでゆっくり旅行をしたことはないという2人。栄二さんは「もう少し年を取ったら、お母さん(美知子さん)をどこかに連れていってあげたい」と話している。(澤村真理子) 

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