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十勝加藤牧場50周年 酪農に情熱注いで半世紀超~先読み新年号

加藤賢一(かとう・けんいち)会長(73)
 学校給食で飲んできた脱脂粉乳と友人宅で飲んだ牛乳のおいしさの違いに衝撃を受け、実家の畑作農家を継がずに、酪農の道に進んだ加藤賢一会長(73)。一代で十勝加藤牧場を築き、ホルスタインが主流の日本の酪農界では希少なジャージーの飼育にまい進しています。

 加藤会長は、道内での研修を経て、21歳の時に単身で酪農先進国カナダへ。「私の経営の核となる『自然循環型酪農』に感銘を受けました」。牛に牧草を与え、ふん尿を堆肥として畑に還元。良質な土から牧草をつくる仕組みを十勝でも実現しようと3年後に帰国。父が買い取った土地で、12頭のホルスタインを育て始めました。

 徐々に頭数を増やし、規模を拡大した矢先の1987(昭和62)年、生産調整に見舞われました。搾った生乳の廃棄処分に憤り、「量を追うだけでなく、これからは付加価値が必要」と決意。8軒の酪農仲間と一緒にジャージーを輸入しました。乳成分が濃い一方、乳量が少なく、生産効率が下がるのがジャージーの短所。これを補うため、同牧場では飲むヨーグルトなどの加工品製造に取り組みます。次第に洋菓子メーカーからの依頼が増え、2019年に自社工場を設立。オリジナルブランドを確立しました。

 「一代で終わらせず、次世代につなぐことでより盤石になる」と加藤会長。ロボット導入により労働時間を半分以下に削減し、持続可能な経営基盤を構築しました。息子の聖墾(まさはる)社長に続き、孫も家業を継ぐ予定と事業の継承も盤石で、創業100年に向かって着実に歩みを進めています。


十勝加藤牧場50周年 酪農に情熱注いで半世紀超~先読み新年号


十勝加藤牧場の全景。3ヘクタールの敷地に約350頭の牛を飼っている。飼料の約9割は自家生産する

■沿革■
1975年 入植・酪農創業
  83年 フリーストール牛舎建設
  88年 ジャージー牛を導入
2006年 「ジャージー 飲むヨーグルト」販売を開始
  12年 「ジャージー バター・チーズ」製造・販売を開始
  12年 法人化
  14年 搾乳ロボット導入
  19年 自社加工場を新設し、一貫生産を開始
  24年 ジャパンチーズアワード2024で銅メダル受賞

■概要■
本社 帯広市美栄町西8ノ130
資本金 650万円
従業員 13人
年商 2億5000万円(2024年8月期)

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