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疎植でGO!でん粉原料用ばれいしょ「コナヒメ」の安定栽培法

道総研 十勝農業試験場 研究部 生産技術グループ

1.背景と目的
 でん粉原料用ばれいしょ「コナヒメ」はジャガイモシストセンチュウ抵抗性を持つ品種として広く普及している。しかし、上部茎葉の生育が旺盛で、従来の「コナフブキ」と比較してでん粉収量が劣る場合があることが報告されている。また現行の北海道施肥ガイドは「コナフブキ」を対象に作られており、「コナヒメ」への適用の可否は不明である。そのため「コナヒメ」にあった栽培法の開発を行う。

2.試験の方法
1)「コナヒメ」の生育特性の解明
  「コナヒメ」と「コナフブキ」の栽培比較を行い、生育特性を明らかにする。
2)「コナヒメ」の最適な栽植密度の検討
  「コナヒメ」の生育・収量の向上のため、株間を2割程度広げた場合の疎植の効果を検討する。
  試験地:窒素供給力低圃場(圃場L)(十勝農試、火山性土、前作:えん麦緑肥)
      窒素供給力高圃場(圃場H)(十勝管内A町、火山性土、前作:てんさい)
  栽植密度:圃場L 標植30×75cm(4,444本/10a)、疎植36×75cm(3,704本/10a)
       圃場H 標植34×66cm(4,456本/10a)、疎植41×66cm(3,695本/10a)
3)「コナヒメ」の疎植栽培における最適な窒素施肥法の検討
  疎植における最適な窒素施肥量・配分を明らかにする。
  窒素施肥:試験区 疎植・基肥+開花期(+4)、基肥増肥(+4)、基肥のみ、基肥減肥(-4)
       対照区 標植・「コナフブキ」の標準施肥。(圃場L:基肥+開花期、圃場H:基肥のみ)
※基肥の窒素施肥量は「コナフブキ」の窒素肥沃度に応じた標準施肥。
※カッコ内の数字は基肥のみに対する総窒素施肥量の増減量(kg/10a)。
試験地、栽植密度:上記2)と同様。

3.成果の概要
1)①「コナヒメ」のLAIは「コナフブキ」と比較し、開花期後まで0.5~1.0m2/m2高く推移した(図1)。
そのため「コナヒメ」は過繁茂になりやすく、受光態勢が悪化し、低収になる可能性が示唆された。
  ②「コナヒメ」の開花期LAIとでん粉収量の間にはLAI3.9m2/m2を頂点とする二次式が得られ、LAIが過剰になるほどでん粉収量は低下する傾向が見られた(図2)。開花期LAIは開花期茎長によって有意に回帰され(y=0.11x-1.79、R2=0.76)、LAIが3.9m2/m2となる茎長は52cmであった(データ略)。
2)①開花期LAIはいずれの圃場でも疎植にすることで低下し、受光態勢が改善した(図3)。
  ②圃場Lでは栽植密度を変更してもでん粉収量に差は無かった(収量比97~105)。一方圃場Hでは疎植にすることで、でん粉収量は高まった(収量比105~116)。
3)①「コナヒメ」安定生産のための目標窒素吸収量は13kg/10aであった。疎植栽培において、圃場Lでは基肥+開花期区で、圃場Hでは基肥のみ区でそれぞれ目標窒素吸収量を達成可能であった(データ略)。
  ②圃場Lの疎植では、基肥のみ区に対する増収効果は基肥増肥よりも開花期追肥で高く、開花期追肥区のでん粉収量は標植区と同等とであった(図4)。圃場Hの疎植では基肥のみ区で最大収量を得られたが、開花期追肥、基肥増肥はでん粉価の低下や生育盛期の倒伏を助長し、基肥のみ区よりもでん粉収量は低下した。これらのことから「コナヒメ」においても「コナフブキ」に準じた窒素施肥法が有効であると判断された。
  ③疎植は種いも数の減少により生産費の抑制が可能で、経済的利点も高いと見込まれた(データ略)。

4.留意点
1)「コナヒメ」の安定生産のための栽培技術として活用する。
2)本成績は十勝地域で得られた成果によるものである。





詳しい内容については、次に問い合わせください。
道総研十勝農業試験場 生産技術グループ
電話(0155)62-2431 E-mail:tokachi-agri@hro.or.jp

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