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植付と同時に防除!インファロー散布の効果は?

道総研 北見農業試験場 研究部 生産技術グループ
道総研 十勝農業試験場 研究部 生産技術グループ

1.背景と目的
 ばれいしょのアブラムシ類およびナストビハムシに対する従来の防除対策として、植付時の粒剤施用と萌芽期以降の茎葉散布が行われてきた。しかし、ナストビハムシの基幹薬剤であった粒剤は登録失効しており、また成虫の発生時期が早まる傾向にあり、適期に防除が実施できていない。近年、種いもの植付時に薬液を植溝に散布する植溝内土壌散布処理、通称インファロー散布が両害虫に対して効果的な技術として期待されている。
 そこで、ばれいしょの主要害虫であるアブラムシ類を対象として、インファロー散布の効果と残効期間を明らかにする。また、ナストビハムシに対する効果も明らかにし、有効な防除法を検討する。

2.試験の方法
1)ジャガイモヒゲナガアブラムシに対するインファロー散布の防除効果の検証
2)ナストビハムシの発生生態の解明とインファロー散布の防除効果の検証
3)インファロー散布機を用いた防除効果の実証試験

3.成果の概要
1)ジャガイモヒゲナガアブラムシに対するチアメトキサム水溶剤SG(100倍20L/10a)のインファロー散布の残効期間(密度指数*115以下を維持した期間)は、十勝農試で45~50日(平均:48日)、北見農試では30~46日(平均:40日)となった。この期間はアセフェート粒剤(6kg/10a)の播溝施用と比較して長く、チアメトキサム粒剤(6kg/10a)の播溝施用と比較してほぼ同等であったことから、長期間ジャガイモヒゲナガアブラムシの密度を抑制出来ると考えられた (図1)。また、北見農試における残効期間は、十勝農試と比較して年次間差が大きく、積算降水量が多い事例では残効期間が短くなる傾向であった。
2)ナストビハムシの産卵から羽化までの発育零点*2は8.2℃、有効積算温度*3は663.7日度となった。また、成虫の産卵は萌芽直後に開始されると推測され、過去の報告よりも早かった(データ略)。幼虫の塊茎への食害は6月下旬から7月上旬に始まり、7月中旬頃から8月中旬にピークを迎えた(図2)。また、発育零点と有効積算温度による羽化日の予測は新成虫の初発時期とおおむね一致した。
3) ナストビハムシに対して、チアメトキサム水溶剤SG(100倍20L/10a)のインファロー散布は、同剤2000倍の茎葉散布と比較して、全試験において防除価が80以上を示しており、安定した防除効果を示した。なお、茎葉散布については、上記2)の発生生態から、ナストビハムシの産卵時期が萌芽直後と推測され、6月中下旬の散布では適期を逸したために効果が低かった可能性がある。また、インファロー散布と茎葉散布の組み合わせとインファロー散布のみの防除効果を比較すると、ほぼ同等の効果を示し、インファロー散布のみでも十分な防除効果が得られた(表1)。
4)インファロー散布機を用いて防除効果を検証した結果、チアメトキサム水溶剤SG(100倍、20L/10a)は、ナストビハムシに対して高い防除効果を示した(表2)。

4.留意点
1)ばれいしょにおけるインファロー散布機を用いた防除対策として活用する。

【用語説明】
*1密度指数:処理区の虫数÷無処理区の虫数×100 で示される対無処理比の生存率
*2発育零点:発育がほぼ停止する最低温度
*3有効積算温度:発育零点を上回る温度の累積値
補足:昆虫の発育速度は温度に比例するため、発育零点と有効積算温度を用いることで、発生時期の予測が出来る


詳しい内容については、次にお問い合わせ下さい。
道総研北見農業試験場 生産技術グループ
電話(0157) 47-2146 E-mail:kitami-agri@hro.or.jp

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