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道産さつまいもの加工時の特徴・貯蔵法・栽培技術の改善

道総研 花・野菜技術センター 研究部 生産技術グループ
ホクレン農業協同組合連合会 農業総合研究所 食品検査分析センター 食品流通研究課

1.背景と目的
 北海道においてさつまいもは青果物としてはもとより加工品や菓子原料としても需要があるにも係わらず、そのほとんどを道外産に依存している。近年は道内での作付け事例が増えており栽培地域は道南から道央・道東に拡大しつつある。そのなかで北海道産さつまいもの生産をさらに拡大して行く上では、市場の動向を踏まえ、貯蔵中の品質変化などを明らかにして加熱調理品や菓子などへの加工上の特徴を明らかにする必要がある。
 そこで、本研究において加工利用における北海道産さつまいもの市場調査を行うとともに、加工する上での問題点とその特性を明らかにする。また、生産拡大や安定供給に向けた貯蔵法や栽培法を明らかにする。

2.試験の方法
1)北海道産さつまいもの市場調査
道内外の加工品メーカーなどへの聞き取り。リサーチ会社による市場全体像の調査。
2)北海道産さつまいもの加工上の特性
加熱調理品の成分分析、食味。試作時の加工性、製品の食味など。ホクレン農総研および道内菓子メーカーにより加工・調査した。対照とした道外(A県)産さつまいもは都度購入し用いた。
3)貯蔵期間における塊根品質変化
供試品種「ベニアズマ」「コガネセンガン」「パープルスイートロード」「べにはるか」「シルクスイート」。花・野菜技術センター保鮮実験棟およびホクレン農総研保管庫にて貯蔵。収穫直後から温度30℃湿度90%4日間キュアリング。貯蔵温度13℃または13℃→10℃(12月に変温)。収穫時~6月に外観、内部成分、食味(蒸し調理)を調査。
4)さつまいも栽培におけるマルチの色の影響
品種「ベニアズマ」「コガネセンガン」「パープルスイートロード」。マルチ3種類(透明、緑(ライトグリーン)、黒)。6月上旬定植10月上旬収穫。規格別収量、上芋収量、乾物率を調査。

3.成果の概要
1)さつまいもの国内市場は西南暖地を中心とした基腐病を始めとする病害の蔓延などの影響により総収穫量が減少傾向にある中、さつまいもの使用量は焼き芋向け、ペースト向けで増加傾向にあった(データ略)。道内の生産量は未だ少なく全国的認知度は低いが前述のように西南暖地を中心とした生産が不安定化する中で、道内メーカー・小売を中心に北海道へ注目する業者も出現している。
2)(1)道産さつまいもの焼き芋は、道外産と比較すると、内部成分としてはデンプン含量が低く、糖含量は収穫直後に高い傾向にあり、食感は粘質で、食味は甘みを感じやすい傾向であった(表1)。(2)スイートポテトの試作を行ったところ、道外産に比べて滝川産の作業性は材料混合時の水っぽさ、成型時の保形性の評価が低かった(表2)。また11月の加工においては道外産より甘み、総合の食味評価値が高かった。なお、試作に当たった道内菓子メーカーからは使用した道産さつまいもの特徴は副原料の調整などにより改善可能とのコメントがあった。
3)(1)「シルクスイート」「べにはるか」「パープルスイートロード」では「ベニアズマ」より貯蔵中の正常芋率が高く推移し、「コガネセンガン」では低く推移した(図1、一部データ略)。(2)キュアリングにより貯蔵中の正常芋率の低下が抑制され、貯蔵性が向上した(図1)。貯蔵中に庫内温度を13℃から10℃に変更すると、腐敗などの障害が発生し、正常芋率が低下した(データ略)。(3)塊根のサイズによる正常芋率推移への影響は見られなかった。蒸し調理品の食味には貯蔵期間に大きな変化は見られなかった(データ略)。
4)畦内の地温はマルチ色が透明>緑>黒の順に高く(データ略)、収量も同様の順となった(表3)。乾物率に対するマルチ色の影響は見られなかった。

4.留意点
なし


詳しい内容については、次へお問い合わせください。
道総研 花・野菜技術センター 研究部 生産技術グループ
電話:(0125)28-2800 mail:hanayasai-agri@hro.or.jp

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