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乳牛のエサ設計に役立つ~粗飼料のデンプン・繊維消化率の推定 (1)とうもろこしサイレージのin vitroデンプン消化率

道総研畜産試験場 畜産研究部 飼料生産技術グループ

1.試験のねらい
 道内で広く使われている飼料設計プログラムにはデンプン消化速度が組み込まれているものがあり、その算出にはルーメン液で7時間培養後のデンプン消化率が必須の入力項目となっている。本研究では、とうもろこしサイレージ(CS)のin vitro7時間培養による可消化デンプン含量を予測する近赤外分光分析(NIRS)検量線を開発する。

2.試験の方法
1)in vitro培養7時間後のデンプン消化率を乾乳牛のルーメン液を用いて分析するにあたり、泌乳牛のルーメン液を用いた場合との差異を検討し、検量線開発に反映させる。
2)CSの in vitro7時間培養による可消化デンプン含量を予測するNIRS検量線を開発する

3.成果の概要
1)未消化デンプン測定値は、泌乳牛のルーメン液を用いた方が、乾乳牛のルーメン液を用いた場合より、平均で5.9±2.2ポイント低かった。その差は、未消化デンプン含量が高いほど広がる傾向があった(図1)。乾乳牛のルーメン液を用いて得られた測定値から泌乳牛での測定値を推定する式として、
未消化デンプン(泌乳牛)= e{0.9936×log(未消化デンプン(乾乳牛))-0.4344}が得られた。
2)検量線作成用サンプル可消化デンプン測定値は、平均17.0±5.1、最小5.7、最大31.6であった。作成したNIRS検量線の検証用サンプル群でのEI値による精度判定は「B(高い)」であった(表1)。Biasは0.38(予測値はやや過大評価となる傾向)であったが、その値はSEPよりも小さく、NIRS検量線の予測誤差の範囲であった(表1、図2)。未知試料のみでの検証でも、EI値による精度判定は「B(高い)」であった(表1)。以上より、作成したNIRS検量線は実用可能な精度であると考えられた。本試験で作成した検量線の適用対象外とする基準として、デンプン消化率の値が負となった試料、デンプン消化率が100%を超える試料およびデンプンまたは可消化デンプンの予測値が外挿となる試料(デンプン(%DM):11.6~43.4、可消化デンプン(%DM):5.7~31.6から外れる)を暫定的に定めた。分析機関における出現頻度はそれぞれ0.2%、0.5%、および1.7%であった(表2)。

4.留意点
1)開発されたNIRS検量線は、北海道向けに粗飼料分析を行っている10機関が参画するフォレージテストミーティング(FTM)に導入される。本NIRS検量線を用いた分析値はFTMの粗飼料分析サービスを通じて、個別農家やTMRセンターに提供され、飼料設計や給与診断などに活用される。
2)各分析機関で分析する試料は乾燥、粉砕後の試料であるため、収穫・調製時の条件(破砕処理の有無等)の効果は考慮されていない値であることに留意する。
3)本NIRS検量線の適用範囲は、多様な産地、品種、調整条件を含むものであるが、適用の対象外として、デンプン消化率の分析値を提供できないことがある。


詳しい内容については下記にお問い合わせください。
道総研畜産試験場 畜産研究部 飼料生産技術グループ 角谷芳樹
電話 0156-64-0622 FAX 0156-64-6151
E-mail sumiya-yoshiki@hro.or.jp

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