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多回刈で消化性の良い牧草生産!

道総研酪農試験場 草地研究部 飼料生産技術グループ

1.試験のねらい
 土壌凍結地帯の採草地において消化性の向上ならびに草種構成の維持を両立した多回刈採草利用による自給飼料生産技術を開発する。

2.試験の方法
1)採草地における多回刈が牧草の生産性および消化性へ与える影響を明らかにする。
2)競合力の高いAL品種との混播採草条件において、多回刈処理が草種構成ならびにその推移に与える影響を明らかにする。
3)土壌凍結地帯において多回刈を導入している生産者の経営の概要、導入動機などを整理する。

3.成果の概要
1)標準区N2と比較して、年間乾物収量の多回刈による減収程度はTY(N3:75%、S4:63%)よりもOG(4回刈区:77-79%、5回刈区:70-74%)で小さく、年平均NDF含量は多回刈によりN3で65%、S4で60%、OG4-5回刈区で60%以下まで低下し、uNDF240hはいずれの多回刈区でも低下し特にS4とE4でN2よりも10ポイント程度下回った(表1)。CP含量は多回刈により高まり、単播であっても10-19%とN2よりも高い水準で推移した(表略)。
2)AL混播条件下において、TY区では多回刈処理に関わらず基幹草種のTY維持が困難であったが、OG区の多回刈では経年化とともにAL被度が徐々に低下していくもののN2よりも雑草被度が低く、OG被度は80%以上の高水準で維持できた(図1)。
3)多回刈を導入している生産者においてもOGを利用した4回刈が行われ、メリットとして予乾の容易さ、作業性・嗜好性・自給率の向上、雑草対策、収穫1回当りの作業負担軽減による悪天回避の容易さが挙げられ、デメリットとしてはダイレクト収穫の場合の水分調整、刈り残し、生産コストの増大が挙げられた(表略)。
4)以上の結果より、TYよりもOGが多回刈に適すると考えられ、OG5回刈より多収なOG4回刈が有効と考えられた。TY2回刈と比較して消化性の高い牧草を、草種構成を維持しながら生産でき、慣行の収穫体系の一部に導入することで適期収穫がし易くなることから、自給飼料全体のさらなる品質向上や収穫作業の労働分散が期待できる(図2)。

4.留意点
1)20%程度の減収が見込まれるため計画的・段階的に導入を進める。草種構成の維持や高消化性牧草の生産ができる反面、年間の作業時間、生産コストについては今後の検証が必要である。
2)OG1番草の穂孕期前後での収穫が難しい場合は、出穂始で収穫することでやや消化性の低下は見込まれるものの1番草の増収が期待でき、慣行のTY2回刈体系よりも高品質な粗飼料の確保が期待できる。
3)施肥および有機物施用については不足が無いよう、適切に行う。


詳しい内容については下記にお問い合わせください。
道総研酪農試験場 草地研究部 飼料生産技術グループ 中村直樹
電話 0153-72-2842 FAX 0153-73-5329
E-mail nakamura-naoki@hro.or.jp

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