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倒れにくく葉落ちスッキリ 手亡新品種「十育A65号」

道総研 十勝農業試験場 研究部 豆類畑作グループ

1.背景
 北海道における手亡類の栽培面積は近年1,000~2,000haで推移し、2021年度では1,490haである。海外産手亡類が一定量輸入されているものの、加工食品の原料原産地表示が義務づけされたことから、国産原料の90%以上を占める北海道産手亡類の位置づけは、ますます重要となっている。
 近年、手亡類は成熟期前後の降雨による屑粒(発芽粒、腐敗粒等)が多発し、特に倒伏による被害増大が問題となっている。降雨被害を避けるため、成熟後速やかに適期収穫することが望ましいが、手亡類は成熟期の葉落ちが悪い。機械収穫時に生葉が脱穀部に取り込まれると汚粒(種皮への茎葉断片や汁液の付着)が発生する一方、葉落ちが進むのを待つと収穫遅れによる屑粒の発生リスクが高まる。主要栽培品種の「雪手亡」は、これらの問題に加え、あん加工時の煮えむらを引き起こす未吸水粒が発生しやすい。以上の理由より、倒伏の発生が少なく、成熟期における葉落ちが優れ、加工適性も備えた手亡品種が強く要望されてきた。

2.育成経過
 耐倒伏性に優れる手亡品種の育成を目標とし、2012年度に道総研十勝農業試験場において、「十系A401号」を母、「十系A428号」を父として、冬期に温室で人工交配を行い、以降選抜・固定をはかり育成した品種である。両親はいずれも「雪手亡」並以上の収量性を有し、耐倒伏性に優れ、「十系A401号」は、加工時におけるあん色等の製あん適性にも優れた系統である。2016年度(F5世代)では葉落ち等の栽培特性、2017年度(F6世代)では収量性を重視して選抜を行った。2019年度(F8世代)以降、「十育A65号」の地方番号を付して特性検定試験等を行い、2020年度(F9世代)以降、道内各地の現地試験に供試してきた。

3.特性の概要
 「十育A65号」は、「雪手亡」よりも倒伏の発生が少なく、適期収穫に必要な成熟期の葉落ちが優れる。成熟期は「雪手亡」よりも早く、子実重は「雪手亡」と同等で屑粒の発生がやや少ない(表1)。粒形および粒色は「雪手亡」と同様である。病害抵抗性は炭そ病および黄化病には抵抗性を有するが(表2)、その他の病害には既存品種と同様に罹病するため、適切な防除管理が必要である。製あん特性は、「雪手亡」と比較して未吸水粒の発生が少なく、あん色は同様である(表3)。あん製品試作評価は、「雪手亡」と比較して同等からやや優る評価が多い(表4)。

4.普及態度
 「雪手亡」に置き換えて普及する。
1)普及見込み地帯:全道のいんげんまめ栽培地帯の地帯区分Ⅰ(十勝、オホーツク)およびこれに準ずる地帯
2)普及見込み面積:1,300ha


詳しい内容については、次にお問い合わせください。
道総研十勝農業試験場 豆類畑作グループ
電話(0155)62-2431 E-mail:tokachi-agri@hro.or.jp

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