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農に向き合う~農業経営部会会員紹介「池田・小林牧場」

小林靖夫代表

1.アメリカ研修を経て、35歳で規模拡大
 池田町中心部から北へ約9キロメートル。池田町の田園風景を見下ろす近牛地区に小林牧場はある。明治30年代の入植から、現在代表の小林靖夫さん(64)で3代目。小林さんは酪農学園大学短期大学部を卒業後、2年間のアメリカ農業研修を経て実家に就農した。

 1989年までは畑作兼業。つなぎ牛舎で40頭ほどを飼う小さな農家だったが、90年、小林さんが35歳の時にフリーストール牛舎とミルキングパーラーを導入し、規模拡大を果たす。その後徐々に飼育頭数を増やし、今は搾乳牛90頭を含むホルスタイン180頭を夫婦2人で飼育している。

2.町議としても活動
 小林さんがこれまで農業人として念頭に置いてきたのは、「酪農経営を存続させること」だったという。「継続するためには、体細胞対策など乳質の維持がまず重要。同時に生産量を増やして収益を確保する必要性にも直面した。この両立を図るため、作業効率を上げるフリーストール化に踏み切ったが、29年前のあの設備投資は自分にとって想像以上の価値があった」と振り返る。

 時間的にも経済的にも余裕ができたおかげで、町政に関わる意識と余力が生まれたのだ。11年からは池田町農業委員会会長を6年務め、17年からは池田町議会議員として町民のために活動している。

3.同友会仲間に支えられ前向きに
  これまでには苦難もあった。その際たるものが2000年に起きた倉庫火災。大型機械も被害を受けるなどダメージは大きく、その後数年間にわたり経営は低迷した。そしてその間、支えとなったのが同友会仲間だった。「つらい時に話を聞いてもらったり、アドバイスを受けたりすることで前向きになれた」と小林さんは感謝を口にする。

 農業部会長を務めた04年ころには中国研修を企画し、中国経済の草創期をつぶさに見て刺激を受けた。「同友会に入ったことで、普段の生活圏では知り合えない人と出会え、できない経験ができた。何より経済活動の原理を学べたことは大きい。もし入会していなかったら、町議になることもなかっただろう」と力説する。

4.安定経営と住みよい町づくりが目標
 小林さんに今願っていることを聞くと、「十勝に優秀な農業経営者が育つこと」と返ってきた。「これまでは実家を継いで農作業さえやっていたら生活ができたが、これからは違う。若い世代は時代に合った農業経営の感覚を身に付けて、十勝をけん引していって欲しい。アイデアや人脈を生かして経営基盤を強化することも重要。自分の事業に投資をしなければ、変化や成長は起こらない」と若手に希望を託す。

 小林さん自身の今後については、「酪農業をこのまま安定維持しながら、池田町議として町に資金が循環する、住みよい町づくりに努めたい」と抱負を語ってくれた。


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