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古馬になっても躍進する8冠馬 ~メムロボブサップ~

8冠馬のメムロボブサップはお正月の帯広記念で古馬初のBG1制覇を狙う

 ばんえい競馬はJRAや他の地方競馬と違い、世代限定戦が4歳まである(サラブレッドの平地競馬は通常3歳まで)。若駒時代からレースを何度も経験して、馬体をしっかり成長させてから高重量を背負う古馬の重賞レースで活躍するというのが典型的なスタイルだ。

 毎年3月に行われる最高峰の戦い「ばんえい記念」の歴代勝ち馬をここ20年見渡すと若くても7歳。そのほとんどが10歳、11歳馬なのは、重い荷物を運ぶことが“仕事”のばんえい競走馬の完成にはそれだけ時間がかかるという証拠でもある。

 その常識を覆し最年少で頂点を狙えるほどのポテンシャルを持つスターホースが今、ばんえい十勝に存在する。2歳、3歳、4歳の各世代で組まれている3つのBG1を含む限定重賞9つのうち実に8つの競走を制した“8冠馬”メムロボブサップ(牡5歳)のことだ。

 2018年5月の新馬戦でわずか810キロの小柄な馬体でデビューしたメムロボブサップは、同レースを2着以下に13秒もの差をつけて圧勝。同年9月の「BG3ナナカマド賞」で初重賞制覇を果たすと、年末の「BG2ヤングチャンピオンシップ」は3着と取りこぼしたものの、2歳世代のチャンピオンを決める「イレネー記念」では圧倒的な1番人気に応えて快勝。念願のBG1タイトルを獲得した。

デビュー以来ほとんどのレースでコンビを組む阿部武臣騎手とメムロボブサップ

 その後、3歳、4歳世代は向かうところ敵なしでいずれも3冠競走すべてを制覇。3、4歳の限定重賞をフルコンプリートした馬は史上初だ。2021年シーズンから古馬に本格参戦となったが、課題だった高重量戦やハンデを背負っての戦いもものともせず、今季はすべて掲示板を一度も外さず、夏には「BG2ばんえいグランプリ」で古馬重賞初V。着実に成長を果たしている。並みの競走馬ならば必ず直面する「古馬の壁」は今のところ全く感じられない勢いだ。

 デビュー当時、800キロ台だった馬体は、すでに1100キロ近くまで雄大に成長した。このままいけば、年明け3月には早くも6歳で頂上決戦に挑戦する可能性もある。

 生産者で馬主の竹澤一彦さんは「(生まれたときは)小さくて、本当にかわいい馬だった」と振り返る。馬体の幼さから買い手がつかなかったため、仕方なく馬主登録もしていた自身で走らせることにしたという。

 竹澤さんが「これはもしかしたら!」と活躍の予感がしたのは2歳の冬。能力検定のために競馬場に連れていくと、デビュー以降、ほとんどのレースで騎乗することになる預託先の坂本東一きゅう舎所属騎手、阿部武臣が「この馬、思った以上に(荷物を)引っ張れますよ」と目を丸くしているのを見たときだ。父は、現役時代1200キロの馬格を誇ったナリタボブサップだが、母系のスピードをしっかり受け継いだ馬だと阿部は感じた。

2021年8月の「ばんえいグランプリ」で待望の古馬重賞初Vを飾った

 今季は、ばんえいのオープン馬の宿命でもあるハンデに泣かされて勝ちきれないレースもあったが、それでも障害をひと腰でクリアして、ラストでしっかり歩く(伸びる)本来の持ち味を各レースで見せた。19年のばんえい記念を制した古馬のエース格、センゴクエースとはシーズン中7回対戦して4度先着。すでに“横綱”と互角に渡り合っている。

 順調にいけば年明け初戦はお正月を飾る大一番の「BG1帯広記念」となる。900キロ以上の負担重賞を課される伝統の一戦で見事に勝利を収めてスターロードをばく進する。


<メムロボブサップ>
父:ナリタボブサップ
母:ピュアレディ
2016年4月14日生 北海道芽室町産駒
坂本東一きゅう舎
牡5歳

通算61戦22勝(重賞9勝)
主な重賞タイトル:天馬賞BG1(21年)、ばんえいダービーBG1(20年)、イレネー記念BG1(19年)ほか
※2021年12月23日現在

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