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3人の奮闘 実話で全道へ 帯北高演劇部

部員が2人まで減った演劇部の実話を基に脚本が書かれた「放課後談話」。けいこに励む(左から)長崎さんと多田さん、舞台美術と音響を担う沼田さん

管内最優秀
練習はわずか2カ月

 高文連十勝支部の演劇発表大会(17、18日・帯広市民文化ホール)で2年連続の最優秀賞に輝き、11月の全道大会(札幌)出場を決めた帯広北高演劇部(顧問・加藤真紀子教諭)。今回挑んだ作品「放課後談話」は、この春、部員が2人にまで減った同部の実話を基に加藤教諭が創作した脚本だ。部長の多田隼脩さん(18)=3年=は「自分が3年間続けてきた中で一番良い劇。地区大会が最後の大会にならなくて良かった」と笑顔を見せる。

 「ね、演劇部に入ってくれない?」。舞台は男子高校生2人が学校のベンチに座わり、スマホをいじりながら行き交う生徒を眺めている場面から始まる。

 多田さん演じる「多田」が事あるごとに話をこじつけ、長崎凌馬さん(18)=3年=演じる「長崎」を部活に勧誘する。時事的な内容や、「高校生あるある」といった会話がテンポ良く進んで笑いを誘うが、物語は後半、長崎が多田に勧誘の理由を問う場面から、終盤へ一気に加速する。

 前半は加藤教諭が脚色したフィクションだが、核となる部分は実際に同校演劇部で起きた出来事だ。

 学年が変わり、新体制としてスタートを切った今年4月。1年生の時、多田さんと一緒に入部した同級生6人の、最後の1人がやめた。部員は多田さんと、様子を見かねて入部した美術部部長の沼口湖紅さん(17)の2人きりに。時間だけが過ぎ、地区大会まで残り2カ月と迫っていた。

 長崎さんはこの危機的状況の中で多田さんから誘われ、舞台に立つことになった助っ人だ。元は弓道部の副部長で、7月に部活を引退していた。何もかもが急だった。長崎さんに至っては舞台を踏むまでわずか2カ月で、「初めは恥ずかしさもあったし、日常的な会話の劇でもいざ演じるとなると難しかった」。それでも、3人は共通して演劇の面白さや楽しさを感じていた。

 地区大会本番当日。舞台には3人で協力して仕上げた縦約6メートル、横約8メートルの舞台装置が置かれた。その前のベンチに座り、「多田」と「長崎」はぽつりぽつりと会話を始めた。

 沼口さんは客席中央の右端に座り、演技を見ながら効果音をタイミング良く操作した。会場に笑いと一体感を与えた2人の生き生きとした演技を見て、「練習以上の良い演技をしてくれた」と目を細めた。

 今回の地区大会が最後の舞台になる。そう思っていた3人は、19日の結果発表で最優秀賞と読み上げられ、耳を疑った。休憩時間に他校の生徒から「おまえ、よくやってくれたな」と褒められ、初めて実感が湧いたという。

 全道大会は11月16日から札幌市教育文化会館で開かれる。長崎さんは助っ人として2カ月だけ携わる予定が、少しだけ延びた。今度は正式に部員として舞台に立つ予定だ。多田さんは全国を逃した昨年の全道大会をバネに、「今年はその悔しさを晴らしたい」と意気込んでいる。(牧内奏)

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