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バケツで重さをはかって作る衛生的な牛ふん堆肥

道総研 畜産試験場 基盤研究部 飼料環境グループ、家畜衛生グループ

1.試験のねらい
 堆積切返し方式(無通気)の乳牛ふんの堆肥化過程において、大腸菌や食中毒菌(サルモネラ、リステリア)の低減条件を明らかにする。また、その低減条件を達成するためのポイントとなる、バケツで簡易に測定できる容積重の目安を示す。

2.試験の方法
1 )乳牛ふんと副資材の混合物を屋内の試験区画に高さ約1.6mで堆積(約7㎥)し、3週間隔で3回切返し4回の堆積を行い、大腸菌、サルモネラおよびリステリアの生残性を調査した。大腸菌は試験開始時に混合物全体に接種した。サルモネラ(S.Infantis,Sal)とリステリア(L.monocytogenes,Lm)は開始時と各切返し時の混合物50gに各々接種してPTFE バック*1に詰め、堆積物内の5箇所に埋設した。各切返し時にPTFE バックを回収して接種菌の生残菌数を計測した。その他、開始時原料の容積重(25L バケツで測定,詳細は図3の*1)、PTFE バック埋設部位の温度を測定した。*1:PTFE ろ紙を二重に貼り合わせた袋(15×16cm)。菌の流亡が生じず、通気性があり内部でも外部と同様に堆肥化が進行することが確認されたもの。
2 )食中毒菌を低減するために必要な副資材の混合量を明らかにするために、乳牛ふんに対して2種類のオガクズをそれぞれ割合を変えて混合し、混合物の容積重等を測定した。

3.成果の結果
1 )大腸菌とSal およびLm は活発な温度上昇が認められた堆積内部では概ね不検出となったが、温度上昇が緩慢な床面や表面では生残した(図1,大腸菌とLm はデータ略)。3菌種ともに50℃以上の部位では概ね不検出となったことから(図2)、衛生的な堆肥生産のためには複数回の切返しにより堆積堆肥の全体を50℃以上の高温に曝す必要があると考えられた。
2 )堆肥混合物中の大腸菌(6~7logCFU/ 現物g)は、4回の堆積が終了した12週後には2log CFU/ 現物g 以下となった(データ略)。Sal とLm は各埋設部位で大腸菌と同等以上に減少したため、堆肥全体に存在した場合でも大腸菌と同様の低減が期待できる。
3 )以上より、大腸菌、Sal およびLm は50℃以上の温度上昇と3回の切返しで微生物リスクは十分に低減することが明らかとなった。リスク低減の安全率と雑草種子の不活化条件(55℃・2~3日,西田ら1999)を考慮して「切返しを3回以上実施して4回の堆積でいずれも最高温度が55℃・3日以上となるようにすること」を、有害微生物リスクの低減に必要な堆肥化条件とした。
4 )この堆肥化条件を達成した堆肥の初期容積重は、オガクズを副資材とした場合、温暖期では0.50kg/L 以下、寒冷期では0.38kg/L 以下であった(図3)。乳牛ふんをそれら目標容積重に調整するために必要なオガクズの量は、オガクズの種類により大きく異なった(図4)。

4.留意点
1 )適切な切返し回数は堆積規模により異なるため、急激な品温上昇が認められなくなるまで切返しを繰り返す。
2 )オガクズを副資材とした堆肥では木質の分解に時間を要するため、通算7ヶ月程度の堆肥化期間を設ける。また、乳牛ふんに対して容積比で1.5倍を超えるオガクズを混合すると十分なC/N 比の低下が見込めないため、施用時に窒素飢餓の発生に対する注意が必要となる。



詳しい内容については、次にお問い合わせ下さい。
道総研花畜産試験場 基盤研究部 飼料環境グループ 湊 啓子
電話(0156)64-0622  FAX(0156)64-6151
E-mail:minato-keiko@hro.or.jp

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