「児童除雪隊」に、お年寄り感謝
デイサービス「Sai」通所児が活動
人の役に立つ体験、成長にも効果
帯広市内の児童デイサービス「Saiの森」と放課後等デイサービス「Saiの巣」の児童らが今冬、近くの独居高齢者を助ける除雪ボランティア「Saiのご近所除雪隊」を結成して奮闘している。施設がある春駒西町内会のお年寄り2人から要請を受けて雪が積もるたびに出動しており、大澤浩介施設長は「お年寄りから『ありがとう』と言われる体験は子どもたちにも得がたい経験になっている」と話している。
Saiの森とSaiの巣は、発達障害や自閉スペクトラムなどの生きづらさを抱える児童が通所している。現在、利用しているのは2歳から10歳の児童40人以上。普段はホットケーキ作りやどろんこ遊びなどをし、施設のレクリエーションを楽しんでいる。
ご近所のお年寄りたちとは、2016年から実施しているハロウィーンイベントをきっかけに親しくなった。子どもらが町内会を練り歩くイベントを行った後、お年寄りが施設を見学に訪れ、交流が始まった。
今冬の除雪ボランティアは、すでに約10回実施した。子どもらがスコップを手に雪かきを行うほか、帯広市からレンタルした除雪機も使用。家のまわりの生活動線をしっかり確保するところまでやり切っている。作業が終わって、お年寄りからお礼を言われた子どもらは「ありがとうって言われた」と目を輝かせているという。
大澤施設長は「施設外の人とふれ合う経験が子どもたちの療育に着実に役立っている」と語る。児童・生徒と高齢者、障害者が相互交流する活動は、全国的にも福祉の将来モデルとして拡大が期待されている。Saiのご近所除雪隊が活躍する春駒西町内会では、子どもや高齢者らが助け合う“地域共生の芽”が雪の中で育ちつつある。
(奥野秀康)