元朝青龍に「完敗」 広尾の「酪農格闘家」久保さん
「AbemaTV」で対戦
豪快上手投げ「強かった」
【広尾】町在住のプロ格闘家久保昌弘さん(32)=帯広レスリングクラブ所属、酪農業=が昨年大みそか、インターネットテレビの番組企画で、元横綱朝青龍のドルゴルスレン・ダグワドルジさん(37)と、相撲で“真剣勝負”した。結果は豪快な上手投げを受け敗戦となったが、「いい経験になった。元横綱は強かった。番組の盛り上げに少しは役立てたのでは」と、出演を楽しんだ。
出演したのは、12月31日午後8時から生放送された「Abema(アベマ)TV」の番組「朝青龍を押し出したら1000万円」。元横綱が格闘技や他スポーツの選手ら一般人、元大関ら計8人と対戦した。
一般参加者は公募され、久保さんはプロ格闘家としての活動が番組関係者の目に留まり、昨年12月中ごろに「応募してほしい」と声を掛けられた。東京での面接や元力士とのぶつかり稽古などの実技試験を経て、出演者に選ばれた。
久保さんは酪農家として働きながら、2015年に総合格闘技の大会で優勝し、プロに。番組では町内の牧場でトレーニングとして牧草ロールを転がしたり、トラクターを押して動かす場面が放送された。
登場場面では元横綱の顔が描かれたTシャツを破って脱ぎ捨て、「オーラを感じない」などと挑発するシーンも。ただ、これは「番組上の演出。本当に目の前でこれを言うのかというせりふもあった」と、久保さんは笑う。
取り組みは8人中、1人目で、スタッフから「勝ってかまわない」とも言われた。しかし、体重80キロ台の久保さんに対し、元横綱は150キロ。上手を取られて持ち上げられ、「組んだら動けなかった。投げられた瞬間はスローモーションに見えた」(久保さん)というほどの投げを受けた。
その後、元横綱は8人全員に勝利。久保さんは、「所作もきれいで、こんなに衰えていないのか」と驚いた。番組終了後に控室で会った際は「けがはないか」と声を掛けられ、母国モンゴルでの農業事業に関連し、元横綱が道内を訪れた話もしたという。
久保さんは翌元旦には朝一番の飛行機で広尾に戻り、酪農の仕事に復帰。2月に東京で予定する格闘家としての試合に向け、トレーニングに励んでいる。
番組は現在もAbemaTVのサイトで見ることができる。(眞尾敦)
<AbemaTV>
サイバーエージェント社(東京)とテレビ朝日が出資し2016年に開設。パソコンやスマートフォン向けに番組を配信している。昨年11月には、元SMAPメンバー3人の出演番組を放送して話題となった。