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「台風10号」1年 「避難した」3割届かず 勧告・指示対象 被災4市町

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「危険感じなかった」
 昨年8月30日に十勝を襲った台風10号による豪雨災害時、清水と新得、芽室、帯広の4市町で避難勧告・指示を受けた人の7割以上が避難をせず、自宅に被害が出た人でも実際に避難したのは1割に満たなかったことが分かった。災害から1年を迎え、十勝毎日新聞社が対象地域の住民計300人に行った防災意識調査で明らかになった。一方、防災グッズの常備割合や水害避難場所の認知度は災害前より高まっており、台風災害を機に地域の防災意識が向上している傾向が示された。

 300人のうち、当時自分が暮らす地域に避難勧告・指示が「出た」と回答したのは30・7%の92人。このうち、実際に避難行動をとったのは28・2%のみで、7割以上は避難勧告・指示に従わなかった。半面、避難行動をとった全31人のうち5人は勧告・指示が出ていなくても自らの判断で避難した。

 避難勧告・指示が地域に出たかどうかは、「出なかった」(60%)と回答した人と合わせて約9割の人が認識していた一方、「分からなかった」との回答も9・3%に上った。

 さらに当時、「身の回りに何らかの被害が出た」と回答したのは51・3%(154人)。大部分が「断水」と回答したが、「敷地内が浸水」11・7%、「床下浸水」6・7%、「床上浸水」1・3%と計19・7%(59人)は自宅や敷地に実被害が及んだ。しかし、この59人のうち避難行動をとったのはわずか5人のみで、ほとんどは「身の危険を感じなかった」などを理由に避難行動を取らなかった。

 調査の自由回答では、「小さな川でも氾濫するとは」「まさかこんなことが起こるとは」などと事前に地域の水害を考えていなかった声も多く、どれほど危険な事態かが分からず、避難行動につながらなかった実態が浮かび上がった。

 当時、自宅に防災グッズを「用意していた」のは37・3%で、「用意していなかった」62・7%を下回った。これに対し、現在は、自宅に防災グッズを「用意している」が51・3%と過半数に上り、「用意していない」を逆転。防災意識の高まりがうかがえる。

 自分が住む地域の水害避難場所を知っているかどうかは、「台風災害前から知っている」が75・3%と大勢を占めたが、「台風災害を機に知った」人も10%おり、認知度は上がっている。ただ、「今も知らない」が14・7%に上り、意識の底上げにはなお課題も残る。(杉原尚勝)

<本紙住民意識調査>
 十勝毎日新聞社がNTTソルコ&北海道テレマート帯広営業所に委託。帯広と清水、新得、芽室の4市町(各75人)を対象に、各市町で男女半数程度となるように無作為抽出した計300人に対し、8月17~20日に電話で聞き取った。年代別は20歳未満0・7%、20代1・7%、30代3%、40代8・3%、50代11・3%、60代29・7%、70歳以上45・3%。


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