ジャズの音色 牛も生き生き まちマイ清水編
コスモスファーム
十勝清水コスモスファーム(御影南5線51、安藤登美子代表取締役)はジャズとの関わりが深い牧場だ。事務所横のゲストハウスは会議スペースのほか、グランドピアノを置いてライブ会場としても活用している。
創業は登美子さんの夫・故賢治さん。帯広農業高を卒業後、農協に就職。夜には帯広市内の宮本ビルのキャバレーでトランペットを吹いていた。「あさやん」の愛称で親しまれた故浅倉功一さんの一番弟子だったという賢治さん。ジャズ関係者から「吉祥寺でトランペットを吹かないか」と誘われるほどの実力だったが、「牛とジャズのために」という思いで農協職員を続けたという。その後、「半分が処分される雄のホルスタインをなんとかしたい」と1987年に有限会社コスモスファームを設立した。
コスモスの英字表記は、CではなくKで始まる「KOSMOS」。ハンガリーの作曲家バルトークの「ミクロコスモス(小宇宙)」というピアノのための練習曲が由来。ロゴマークに描かれた4つの星は創業に関わった4人を表す。
その一人は、九州の大学の名誉教授。賢治さん、登美子さん夫妻の長男で「同ファーム」常務取締役の智孝さん(37)が教授を訪ね、名称の由来が分かった。牛の胃袋で何億もの微生物が働いている様子はまるでミクロコスモスだと納得したという。
現在、ジャズバンド「アドバンド」のウッドベース奏者中村稔さんとピアノ奏者静代さん夫妻もジャズが縁で従業員として働いている。静代さんは、智孝さんが子どものころに習っていたピアノの先生でもある。
他の従業員の前職は鉄工所、金融機関、飲食店、宝石加工、建築などさまざま。登美子代表も含め約半数は女性。「子牛をまるで自分の子どものように育てている」と智孝さん。牛たちは、国の衛生管理基準「農場HACCP」認証を取得しジャズも流れる牧場で、生き生きと“スイング”しながら育っている。
道が認定する北のハイグレード商品に選ばれた、ブラウンスイス種の「無塩せきコンビーフ」は管内のスーパーや小売店で手に入る。(電話)0156・63・3330(大石美保)
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