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“わが子”12人、子どもは幸せを運んでくれるコウノトリ 音更の里親・白木さん夫婦

里子が描いてくれた似顔絵を手に、笑顔を見せる白木さん夫婦

 【音更】町内の農業白木祐一さん(71)と弘子さん(69)夫婦は、里親としてこれまで12人の子どもを養育してきた。社会人になった子どもたちとも家族の交流を続ける白木さんは「子どもは幸せを運んで来るコウノトリ。生きがいを与えてくれた」とし、里親制度を多くの人に知ってもらい、子育て支援につながればと願っている。あす5月5日は「こどもの日」。

 白木さん夫婦は親の病気や経済的事情の他、虐待を受けた子どもなどを里子として育て、現在も小学1年と同5年の姉妹を養育している。その数12人。いずれも生後3カ月から中学2年の間に迎え入れ、最年長は現在34歳になる。多くの子どもたちが白木家を実家と考え、成人してからも有給休暇を使って農作業を手伝ったり、毎年のように夫妻にプレゼントを贈ったりしている。

 里親になったきっかけは、1985年に報道で知った新生児がロッカーに捨てられた事件。子どもがいなかった夫妻は、このような子どもたちを育てられないかと考え、里親制度の存在を知って登録した。

 登録から1年半後、初めての里子は4歳と9カ月の姉弟だった。その日におもちゃを買い、家に戻ると4歳の姉が「お父さん、お母さん」と呼んでくれた。「涙が出るほどうれしかった」(白木さん)という。

 トマトの苗を植えるそばから子どもが抜いたり、保育所で行方が分からなくなって探すとロッカーの後ろで寝ていたなど、この間、さまざまな経験をした。特別なことはしていないとする白木さんだが、「社会で通用する人間に育てる責任がある」とあいさつを徹底させ、物を買い与えるときは働くことの重要性を伝えた。

 白木さんは十勝の地酒「十勝晴れ」の原料となる酒米を栽培している。自身は酒は飲めないが、「大人になった息子や娘が『おいしい』と言って口にしてくれる。ここまで成長したのかと思い、感無量」と目を細める。弘子さんは「育ててこられたのは、周りの人の力があったからこそ」とし、近隣の住民や恵まれた自然環境に感謝する。

 十勝地区里親会の会長を務める白木さんは、児童虐待の増加傾向に懸念を示す。道によると、2014年度の児童虐待相談処理件数は全道で前年比1・4倍の3014件、帯広児童相談所では同1・1倍で過去最多の242件。白木さんは「子育てに悩んでいる人がいるなら、里親の経験を生かして支援したい。他の里親とも協力し、取り組みを進めたい」と力を込める。(池谷智仁)

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