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豚サーコウイルス2型ワクチンは 母豚と子豚両方に接種する方法が良い

道総研畜産試験場 基盤研究部 家畜衛生グループ

1.試験のねらい
 道内の養豚場に浸潤した豚サーコウイルス2型(PCV2)による生産性の低下を防ぐため、PCV2ワクチンの接種方法と離乳後事故率および農場内の豚群や豚舎環境中のウイルス量との関係を解析し、最も効果的なワクチン接種方法を明らかにする。

2.試験の方法
1 )PCV2検査手法の検討のため、道内SPF 豚農場2戸(A、B 農場)における母豚、子豚および肥育豚の血清中ならびに飼育環境落下ふん便(以下、環境ふん便)中のPCV2検出率および検出量を調査する。
2 )PCV2ワクチン接種方法と離乳後事故率およびウイルス排泄時期の関係を明らかにするため、道内SPF 豚農場12戸のワクチン接種方法(子豚接種法、母豚接種法、母豚・子豚接種法)および離乳後事故率、同5戸(A~E 農場)の母豚、子豚および肥育豚の血清中ならびに環境ふん便中のPCV2検出率および検出量を調査する。
3 )SPF 豚農場で推奨されるPCV2ワクチン接種方法を提示する。また母豚150頭規模の農場で離乳後事故率が改善した時の所得の増加額を試算する。

3.成果の概要
1 )A 農場の環境ふん便では、繁殖母豚および肥育期の2飼育ステージ(血清では検出なし)でPCV2が検出され、血清よりも検出率が高かった(データ略)ことや、B 農場では検出された飼育ステージ数は血清と同等(4/6)で、飼育ステージの時期が異なっていることから、環境ふん便は、検出率、検出量ともに多い傾向を示す一方、豚群の直近の感染状況を示している。PCV2の感染状況を評価する際は、環境ふん便中のPCV2検査を加えることで、より詳細な感染実態を把握できる。
2 )PCV2ワクチン接種方法別の離乳後事故率は、母豚・子豚接種法が1.93%と子豚接種法の3.48%に比べて有意に低い。飼育ステージ別では、PCVAD の好発時期(2~4か月齢)と重なる肥育前期、肥育後期の事故率が低い傾向である(図1)。
3 )血清中または環境ふん便中のPCV2量は、母豚・子豚接種法のA・B 農場および母豚接種法のC 農場で低い傾向が認められる(図2)。また、子豚接種法から母豚・子豚接種法に変更したE 農場では、血清中および環境ふん便中のPCV2検出率および検出量が減少し、母豚・子豚接種法の効果と考えられる(図3)。C農場は、分娩およびほ育期の飼養管理や、豚房のオールインオールアウト、適正な飼育密度と空房期間の確保等の衛生管理の徹底で離乳後事故率やPCV2検出量を低減させている。
4 )以上の結果、母豚・子豚接種法は、離乳後事故率ならびに血清中および環境ふん便中PCV2量を低減できることから、SPF 豚農場において最も推奨できる接種方法と考えられる。母豚150頭規模のSPF 豚農場で、母豚用ワクチン追加接種時の離乳後事故率1.5ポイント改善による所得の増加額は651,420円と試算できる(表1)。

4.留意点
1)SPF 豚農場がPCV2のワクチンプログラムを変更する際の参考とする。


詳しい内容については、次にお問い合わせ下さい。
道総研畜産試験場 基盤研究部 家畜衛生グループ 及川  学
電話(0156)64-0615  FAX(0156)64-6151
E-mail:oikawa-manabu@hro.or.jp

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