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地下茎型イネ科草種に対応した 植生改善を地域の取り組みで推進

道総研畜産試験場 基盤研究部 飼料環境グループ・家畜研究部 技術支援グループ
根釧農業試験場 研究部 飼料環境グループ・地域技術グループ
上川農業試験場 天北支場 地域技術グループ

1.試験のねらい
 牧草率(牧草冠部被度相当)を更新翌年秋に90%程度にするための除草剤体系処理法を開発し、雑草侵入を抑制する初期管理方法を明らかにする。また、地域の農家・関係機関の連携で植生改善を推進する取り組み方法を評価・一般化し、植生改善指針を策定する。

2.試験の方法
1 )道内リードカナリーグラス(RCG)、シバムギ(QG)等の地下茎型イネ科草種に対応して、グリホサート系除草剤(G)の雑草茎葉処理(前植生処理)と播種床造成後の播種前処理(播種床処理)の体系処理方法等の効果を検討した。
2 )現地において植生が悪化する要因を解析し、スラリー散布作業のタイミングが植生に及ぼす影響を検討した。
3 )植生改善を地域単位での取り組む方法およびその効果について調査し、現地における草地更新失敗事例や他作物導入等による草地植生改善方法事例の抽出を行った。

3.成果の概要
1 )RCG およびQG 優占草地においては、1番草刈取後の体系処理による草地更新で播種翌年秋の播種牧草率90%程度の植生を確立できる(表1)。前植生処理は草丈でQG40-50㎝、RCG60㎝以下で効果的(表2)だが、播種床処理は播種床造成後30日以降の実施が効果的なため、TY 播種晩限を考慮し、上記草丈を目標としつつ前植生処理を8月以前に実施する。RCG が存在しない場合には播種床処理を省略できる。TY 単播の作溝法では更新翌年秋の牧草率を安定的に90%以上にすることが困難であった。
2 )現地調査の結果、牧草率はpH6.0以下の圃場で低く、経年化に伴う牧草率の低下は土壌分析を実施していないスラリー散布圃場で早い傾向であった。1番草刈取後のスラリー散布時のタイヤ跡ではTY 再生が抑制され、その程度は刈取後10日より20日で大きかった(図1)。このことと既往の報告から、スラリー散布は最終番草後を除き刈取後は10日以内とし、草地更新翌年の最終番草までは散布を控えるべきと考えられた。
3 )地域単位の取り組み(表3)は技術的リスクの軽減、植生改善行動の誘発などで優れている。植生改 善に取り組む優良事例(年11.2%更新)では乾物1kg あたりの自給飼料生産コストを30円程度まで引き下げ可能であり、低更新(同5%)に比べ8%以上低いと試算された。
4 )植生改善の現地成功事例としてとうもろこしや麦類等の導入後に草地に戻す事例などがあった。失敗事例としては播種時期の遅れによる越冬後個体数の著しい減少が多かった。上記の試験成果および現地失敗事例を考慮して植生改善指針を作成した(表3)。

4.留意点
 泥炭土壌では、グリホサート系除草剤の播種前処理(播種床処理)は避ける。


詳しい内容については、次にお問い合わせ下さい。
道総研畜産試験場 基盤研究部 グループ 出口健三郎
電話(0156)64-0621  FAX(0156)64-6151
E-mail:deguchi-kenzaburo@hro.or.jp

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