豚および鶏に対する とうもろこし子実主体サイレージの飼料特性
道総研畜産試験場 家畜研究部 中小家畜グループ
1.試験のねらい
とうもろこし子実主体サイレージ(ハイモイスチャーシェルドコーンおよびコーンコブミックス)について、飼料成分・栄養価および豚・鶏への給与効果を検討し、養豚、養鶏飼料として利用する際の飼料特性を明らかにする。
2.試験の方法
1)とうもろこし子実主体サイレージの豚、鶏に対する飼料特性
HMSC およびCCM サイレージについて、豚および鶏における消化試験を実施し、栄養価の査定を行った。
2 )肥育豚(雑種)に対して、HMSC またはCCM を主体とした飼料を給与し、発育および枝肉形質に及ぼす影響について調査した(単飼条件下・群飼条件下)。
3 )産卵鶏(ロードアイランドレッド)に対して、HMSC またはCCM を主体とした飼料を給与し、産卵成績および卵質に及ぼす影響について調査した。
4 )肉用鶏(北海地鶏Ⅱ)に対して、HMSC またはCCM を主体とした飼料を給与し、産肉成績およびと体成績に及ぼす影響について調査した。
3.成果の概要
1 )CCM はHMSC に比べてNDF 含量が高く、エネルギー価はやや低かったがその差はわずかであり、HMSC およびCCMは豚および鶏において市販とうもろこしとほぼ同等の飼料成分・栄養価であった(表1)。
2 )肥育豚にHMSC、CCM を主体とした飼料を単飼条件下で給与した結果、市販飼料を給与した場合と同等の発育(表2)および産肉成績が得られたこと、また、これらの飼料を群飼条件下の肥育豚に給与した場合でも同様に同等な発育および枝肉形質を示したことから、HMSC およびCCM は肥育豚用飼料として活用できる。
3 )【産卵鶏】市販配合飼料と比較した結果、飼料摂取量、産卵率、卵重に処理間差は見られず、HMSC、CCM は産卵鶏用飼料として活用できる。なお、本飼料を給与した場合、卵黄色が薄くなるため、必要に応じてパプリカ抽出物等の色素を飼料に添加することが必要となる(表3)。
4 )【肉用鶏】市販配合飼料と比較した結果、HMSC、CCM は採食性および増体成績において同等またはそれ以上の成績が得られていること、また、正肉の各部位の重量割合は、雄、雌とも処理差はみられなかったことから、肉用鶏用飼料として活用できる(表4)。
以上のことから、本成果は自給飼料を活用した特色のある養豚・養鶏を目指す経営で活用可能である。
4.留意点
1)本成績では平均粒度0.7~0.9mm 程度に粉砕したHMSC およびCCM を用いた。
2)サイレージ開封後はカビが発生しやすいことから、密封保管に留意する。
3)HMSC およびCCM は、カビ毒含量が基準値以下のものを用いる。
詳しい内容については、次にお問い合わせ下さい。
道総研畜産試験場 家畜研究部 中小家畜グループ 甲田 洋子
電話(0156)64-0611 FAX(0156)64-6151
E-mail:kouda-youko@hro.or.jp