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牧草サイレージのTDN推定式の改良

道総研根釧農業試験場 研究部 乳牛グループ

1.試験のねらい
 可消化養分総量(TDN)の推定値の過小評価要因を明らかにし、その結果をもとに、牧草サイレージのTDN 含量を過小評価することなく推定する式を開発する。また、TDN 推定に必要なivdNDF(インビトロ可消化中性デタージェント繊維)を近赤外分析するための検量線を作成する。

2.試験の方法
1)牧草サイレージについてTDN 実測値と推定値を比較することにより、推定誤差要因を明らかにする。
2)現行のTDN 推定式の説明変数および係数を変更することよって推定精度の向上を図る。
3)ivdNDF を近赤外分析で測定するための検量線を作成する。
4)TDN 含量が既知のサンプルを用い、改良したTDN 推定式の精度検証を行う。

3.成果の概要
1 )TDN 推定式を構成する説明変数のうち、NRC(2001)の方法で求めた真の可消化CP・EE・NFC・NDF(tdNDF)と消化試験で実測した可消化CP・EE・NFC・NDF の決定係数は、それぞれ0.97、0.91、0.89および0.52であり、NDF だけが推定値と実測値の関係性が低かった。
2 )消化試験から求めた可消化NDF とivdNDF の決定係数は0.83と高く、ivdNDF は可消化NDF を高精度に推定できることが明らかになった。
3 )改良した推定式(改訂式)から求めたTDN 推定値と消化試験から求めたTDN 実測値の決定係数は0.62であった(図2)。
4 )化学分析によるivdNDF 既知のサンプルを用いて近赤外分析用検量線(検量線Ⅰ)を作成したところ十分な精度で測定できることが明らかとなった。一方、検量線Ⅰに当てはまらないサンプルがあったため、それを判別する方法を開発し、検量線Ⅰに当てはまらないサンプルに対しては検量線(検量線Ⅱ)を開発した(図3)。
5 )改訂式によるTDN 推定値と現行式から推定したそれを比較すると中高TDN 領域における過小評価が改善された(図4)。TDN 実測値が65%(高TDN)の牧草サイレージの推定値は、現行式では57.3%、改訂式では60.7%となった。この値をもとに、CP16%、TDN73%のTMR を設計すると、現行式に比べ改訂式では、牧草サイレージの割合は5ポイント増やすことができた。改訂式で推定したTDN は、実測値に近い値となり、TMR の牧草サイレージの割合を増加させることが可能であることを明らかにした。

【用語説明】
tdNDF:真の可消化NDF、推定式から算出(推定値)
ivdNDF:in vitro 法(48時間)から算出された可消化NDF

4.留意点
1)改訂したTDN 推定式(改訂式)は、道内の飼料分析センターで統一して活用される。


詳しい内容については、次にお問い合わせ下さい。
道総研根釧農業試験場 研究部 乳牛グループ 窪田明日香
電話(0153)72-2116  FAX(0153)73-5329
E-mail:kubota-asuka@hro.or.jp

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