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広尾拿捕漁船が帰還 11人全員無事 1カ月半ぶり

下船後、道鮭連の飯作会長と抱き合い再会を喜ぶ伊東船長(左、1日午前4時半ごろ)

 【根室・広尾】広尾漁協所属のサケ・マス流し網漁船「第十邦晃丸」(伊東正人船長、29トン)が道東沖でロシア国境警備局に拿捕(だほ)された問題で、伊東船長を含む乗組員11人が拿捕から1カ月半ぶりに帰還し、1日午前4時ごろに根室市・花咲港に到着した。乗組員は連行先の国後島古釜布(ロシア名ユジノクリリスク)沖で停泊した船内に留め置かれてきたが、ロシア側の必要な捜査や裁判手続きが完了、前日の8月31日夕に解放された。関係者によると乗組員の健康状態に問題はないという。乗組員は根室市内の病院で健康診断を受けた後、1日午前7時半に同船で出港し、同日夜には広尾に戻る見通し。

 道などによると、ロシア国内法の刑事責任を問われた伊東船長への刑事裁判が8月20日に、伊東船長と船主の板垣漁業部(広尾)への行政裁判が同28日に終了。伊東船長は刑事裁判で罰金20万ルーブル(約37万円)、行政裁判で4万5000ルーブル(約8万円)、板垣漁業部は行政裁判で91万6800ルーブル(約165万円)の支払いを命じられ、いずれもこれを納付したことで裁判手続きが完了、31日夕に乗組員全員の解放が許可された。

 乗組員は、ロシアでの出港手続きを経て同日午後7時ごろ、ロシア側の監視船を伴わずに単独で国後沖を出発、翌午前1時ごろに道東沖のチェックポイントでの検査を経て、同4時ごろに花咲港に入港した。

 関係者や報道陣が待つ中、船から降りた伊東船長は、出迎えた道鮭連漁業協会の飯作鶴幸会長と抱き合って再会を喜び合った。他の乗組員も疲れた表情を見せず、根室市内の病院で健康診断を受けるため足早に迎えのバスに乗り込んだ。

 報道陣に囲まれた伊東船長は「大変迷惑を掛けた。乗組員の家族に大変申し訳ないことをしたと思う」と声を詰まらせた。出迎えに出た広尾漁協の亀田元教組合長は「関係者の皆さんには多大な支援、協力をいただいた。乗組員全員の帰着と船が解放されたことに感謝したい。事件を真摯(しんし)に受け止めながら猛省し、再発防止に努める」と話した。

 一方、地元の広尾では8月31日夕、外務省など関係機関から解放の一報が伝えられた。広尾漁協は同日午後8時すぎに同漁協に乗組員の家族らを集め、帰還日程などを伝えた。

 ある乗組員の妻は「長い間拘束されてはらはらしていた。帰ってくることがはっきりしてほっとした」と安堵(あんど)の表情を見せた。

 根室市内で健康診断を終えた乗組員11人は1日午前7時半ごろ、花咲港に停泊した邦晃丸の前に一列に並んで一礼し、家族が待つ広尾に向けて出港した。

 ロシアの200カイリ水域内で操業していた第十邦晃丸は7月17日、ロシア当局による洋上検査で1隻当たり103・25トンと決められた漁獲量を超過したことが確認され、拿捕された。漁獲割り当てを超過した魚種は紅ザケで、割り当て26・49トンに対して472キロ超過したとされる。

道や海保が聴取へ
 広尾漁協所属の「第十邦晃丸」が1日に帰還したのを受け、道は今週中にも、漁業法違反を視野に船主や船長らを事情聴取する方針を固めた。また、広尾海保は2日にも乗組員らから操業経過などを聴き取る見通し。

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