男子500M榊原逆転V、十勝勢3種目制す 全国高校選抜スケート
スピードスケートの第5回全国高校選抜競技会(日本スケート連盟、全国高体連主催)第1日は21日、明治北海道十勝オーバルで午後に男女500メートルと1500メートルを行った。男子500メートルは1回目2位の榊原一輝(帯南商1年)が2本合計74秒226で逆転優勝を果たした。2位は石川斗来(白樺学園1年)、3位は松本健太(同2年)。入賞の6位までを十勝勢が独占した。女子同は1回目1位の川村聖亜(白樺学園2年)が、2回目に唯一の40秒台となる40秒783をマークし合計81秒824で制した。2位は持田あかり(白樺学園2年)、3位は宇佐見鈴音(帯農1年)。女子1500メートルは小野寺優奈(帯南商2年)が頂点に立ち、男子同は小岩和輝(白樺学園2年)が2位、磯卓磨(帯南商2年)が3位に入った。石川将之(山梨・北杜2年)が優勝した。初日は5種目のうち、3種目で十勝勢が1位を取った。(北雅貴、金野和彦)
男子500は榊原(帯南商)苦手克服、36秒台狙う
男子500メートルは滑るたびにタイムを縮める成長株が制した。榊原一輝は「内容は悪くなかった。苦手もある程度克服できた」と、満足そうに話した。
3位に入ったインターハイの2本目で100メートルを9秒99で通過。初めて10秒を切った。この日も9秒99、9秒96と安定し、カーブでの滑りもスムーズだった。
根室光洋中2年時の全国中体連で、アウトスタートの2回目がトラウマになっている。バックストレートで前を滑る選手を追ってスピードに乗ったが、最終カーブで制御できずに転倒。以来、怖さを感じている。この日の2回目は目標の36秒台のためにカーブも攻めた。37秒037の記録に「これまでよりは良かった。ただ、(36秒台に)届かなかったのは、もっと勇気が必要ということ。バックストレートの伸びも課題」と気を引き締める。
良きライバルの存在も励みになっている。2位の石川斗来は小学校時代からしのぎを削ってきた。昨季の全国中体連は、石川に続く2位で共に中学新を出した。今後も切磋琢磨(せっさたくま)して高校短距離界を引っ張るつもりだ。
V逃し苦笑い 石川
「ひそかに優勝を狙っていたので残念だが、表彰台はまずまず」。昨年の男子500メートル全国中体連王者の石川斗来(白樺学園)は苦笑いした。「緊張するタイプではない」という強心臓と瞬発力が長所だ。高校入学後はカーブの滑りが向上し、ストレートの加速につながりつつある。
この日はスタートから力んだが「足は良く動いた」。別海中央中3年の昨季、エムウエーブでの全中で記録した37秒28の自己記録を少し更新した。今季の前半は調子が上がらなかっただけに、「最後に結果を残せて良かった」。来季はインターハイと全国高校選抜の2大会制覇を狙う。
壁感じた表彰台 小岩
男子1500メートルの小岩和輝は、全国大会初の表彰台に笑みがこぼれた。
長野県軽井沢町で行われた今月上旬のジャパンカップ第4戦でコツをつかんだ。1周目で飛ばし過ぎずに、700メートルを過ぎてからギアを切り替えられた。
この日はスタートから300メートルはリズムだけを考え自己最速の25秒06で通過。同走の石川将之が先行する中、焦ってバランスを崩さないように注意し、後半も「持ち味の粘りは出せた」。それでも1位と2秒24差がついたことに「大きな壁。自分にはスピードが足りない。これからの1年で埋めていかなければ」と、気を引き締めていた。
最低限の目標
男子500メートル3位の松本健太の話
3位は最低限の目標。確実に入れたのは良かったが、悔しい思いが強い。2回目の残り1周は良い感じで滑られた。
ラストで粘れた
男子1500メートル3位の磯卓磨の話
ラスト1周を粘れて直線でも焦らずに行けた。カーブはいつものリズムでなく、刃が氷にかんでいなかった。序盤にもっと突っ込むべきだった。
本人も驚く自己新 川村、好スタート生かす
女子500メートルは、2回目に唯一の40秒台となる40秒783をマークしたインターハイ6位の川村聖亜が貫禄勝ちした。実績トップの山田梨央(長野・伊那西2年)がけがで棄権する中、「ここでは絶対に負けられない」と気合十分だった。
1回目は最初の100メートルが11秒18。「今まで11秒4でしか入ったことがない。氷を刃がしっかりとかんでいる感じ」と、本人も驚く動きの良さだった。2回目も11秒20。スタートを生かして自己記録を更新した。
練習の成果が出始めてきている。先月下旬のインターハイ前に、課題のスタートと100メートルの改善に取り組み始めた。フォームを変え、体重を氷に伝え加速できるようになった。全体練習後にも残って繰り返した。インターハイでは「満足できなかった」が、ここに来て成長している。
第1カーブのコーナーでの一歩目に足を置く位置も意識している。和田貴志監督は「コーナーはまだまだ。どちらかと言うと失敗」の状態での自己新は、今後の伸びしろも感じさせる。200メートル以降に力を入れ過ぎないことも課題の一つ。「やるべきことはたくさんあるが、やっと40秒台を出せて良かった」とうれしそうに笑った。
「最高の滑り」 持田
女子500メートルの持田あかりは、2本とも自己記録の41秒56を塗り替える会心の滑りを見せた。
奮い立つ理由があった。インターハイでは1回目3位だったものの2回目が10位に沈み、結局8位に。2位で臨んだこの日の2回目も同じくインスタート。悔しい思いを繰り返したくないと集中した。最初の100メートルが11秒34と「いつもより0秒3速かった」と勢いをつけゴールした。
昨年逃したジャパンカップの出場権利(6位以内)はもちろん、全日本距離別選手権に参戦できる表彰台に上り、「現在の最高の滑りはできた」と笑った。
小野寺(帯南商)逆転V女子1500
ラスト1周、粘る
女子1500メートルは小野寺優奈が勝負強さを発揮した。昨年11月のジャパンカップ第1戦で、2分4秒90をマーク。持ちタイムは一番だが、年末年始の体調不良が尾を引き、本調子には戻っていない状態だった。
インターハイは5位。同2位の宮嶋未奈美は、直前のエムウェーブ競技会でもシニアに交じっての9位と好調だ。「未奈美ちゃんの調子が良いのを知っていて焦っていた」と振り返った。
最初から飛ばす先行型。大きい滑りはいつも通りだったが、「筋力と体力が戻っていない」(東出俊一監督)とスピードに乗り切れない。
滑り終えていた宮嶋のラップにラスト1周まで後れを取ったが、最後まで足を動かし0秒32の小差で上回った。「タイムは不満だが、勝たないといけないと思っていたレースで、何とか1位を取れた」と安堵(あんど)していた。
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