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養豚場におけるサルモネラ健康保菌の低減対策

道総研畜産試験場 基盤研究部 家畜衛生グループ

1. 試験のねらい
養豚場においてサルモネラが常在化する要因を明らかにし、感染防止のための重要なポイントを明らかにする。また、抗菌性物質等の投与による排泄低減効果を明らかにし、養豚場で実施可能な保菌率低減対策を示す。

2. 試験の方法
1)道内養豚場3戸(A、B、C)の母豚、離乳子豚、肥育豚の飼育ステージ別保菌率を調査し、保菌率が高かったA農場の母豚およびほ乳子豚の保菌率を調査した。豚舎内環境(長靴、長靴棚、豚房、洗浄消毒済み豚房、豚舎内通路等)の汚染状況調査を行った。
2)サルモネラ保菌子豚に生菌剤や有機酸、あるいは抗生物質(マルボフロキサシン(MF)筋肉内投与、オキシテトラサイクリン(OTC)飼料添加)を投与し、保菌率の推移を調査した。抗生物質投与時に豚体消毒と豚房移動を追加した時の保菌率を調査した。
3)A農場のサルモネラ保菌母豚に、ストールで抗生物質を投与し、除菌率を調査した。

3. 成果の概要
1)調査を行った3農場全てでサルモネラ保菌豚が認められたが下痢などの症状はなく、養豚場でのサルモネラの健康保菌は存在する。健康保菌のサルモネラはいずれもInfantisやDerbyなどの届出伝染病ではない血清型である。保菌率は農場により大きく異なるが、母豚での陽性率が高い傾向が認められる。保菌率の高い農場の保菌母豚のほ乳子豚では、0~3日齢からサルモネラが高率に検出されることから、母豚の高い保菌率と哺乳中の母子感染が、サルモネラが常在化する上で主要な感染経路であり、その阻止または低減が必要である(図 1)。
2)保菌率の高い養豚場の豚舎環境で、長靴棚、洗浄・消毒済み豚房、豚舎通路などからサルモネラが検出されたことから、汚染した豚舎環境は重要な感染源となっている。以上の結果から、長靴の管理や豚房の洗浄消毒方法の改善が必要である。
3)抗生物質の投与終了直後はサルモネラの排泄は認められなくなるが、1週後には保菌率が上昇する(表 1、投与区)。投与直後の内臓や消化管内容からはサルモネラは検出されず、一方で対照区の胃内容からの検出が確認される。投与後の保菌率上昇は、食糞等の習性により経口的に再感染することが原因である。この再感染は豚体消毒と清潔な豚房への移動により低減できる(表 1、投与+移動区)。
4)ストールでMFを投与した時および投与後に分娩豚舎へ移動した時の除菌率は、それぞれ60%および50%である(表2)。母豚の保菌率をより効果的に低減するためには、保菌母豚への抗生物質投与に加えて、サルモネラ陰性の育成雌豚による母豚更新と保菌母豚の優先的更新の併用が必要である。
5)以上の結果から表3に養豚場のサルモネラ排泄低減対策を示す。

4. 留意点
1)養豚生産者および獣医師がサルモネラ保菌農場の衛生対策に活用する。
2)抗生物質の使用については、獣医師の指示により使用する。





詳しい内容については下記にお問い合わせください

道総研畜産試験場 基盤研究部 家畜衛生グループ 及川学
電話 0156-64-0614 FAX 0156-64-6151
E-mail oikawa-manabu@hro.or.jp

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