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牛マイコプラズマ乳房炎を防ぐためのポイント

道総研畜産試験場 基盤研究部 家畜衛生グループ

1. 試験のねらい
近年発生が増加している牛マイコプラズマ(Mp)乳房炎について、乳汁中Mpの感染実態と酪農場における高リスク感染源を明らかにし、これらの結果をもとに牛Mp乳房炎の蔓延防止策を示す。

2. 試験の方法
1)A管内において牛Mp乳房炎の感染実態を調査する。
2)B、C、D農場において、次の各項と乳房炎発生との関連を明らかにする。
(1)農場における肺炎の流行、(2)子牛期のMp感染、(3)生殖器におけるMp感染、
(4)外部導入牛による農場内への持ち込み
3)1)、2)の結果から牛Mp乳房炎蔓延防止のためのポイントを提案する。

3. 成果の概要
1) A管内では平成22年4月から平成25年9月までの間に、約1割(168戸)の酪農場が乳汁中Mp陽性を経験していた。検出菌種はM.bovis、M.californicum、M.bovigenitaliumが66%(菌種不明を除いた場合は92%)を占めた(図1)。これらの菌種(特にM.bovis)は清浄化までに時間を要する農場が有意に多かった(表1)。これら3菌種が検出された農場は、全頭検査で感染牛を特定し、隔離・治療・淘汰等の対策を実施することにより、清浄化に要する期間を短縮できることが示された。陽性農場の91%はバルク乳検査により発見されており、定期的なバルク乳検査はMp乳房炎の早期発見に有効であった。
2)(1) B、C農場の哺育・育成群ではM.bovisによる肺炎が流行し、それに後れて哺育・育成群と同一遺伝子型のM.bovisが乳汁から検出された(表2)。一方、D農場の哺育・育成牛の鼻汁からM.bovisは検出されたが肺炎の流行はなく、乳汁からM.bovisは検出されなかった。農場内のMp肺炎牛はMp乳房炎の感染源のひとつと考えられた。
(2) B、D農場の子牛それぞれ20頭中15頭および50頭中8頭の鼻汁からM.bovisが検出されたが、検出期間は数ヶ月程度で長期間には及ばず、また、これらの牛の分娩後の乳汁からMpは検出されなかった。子牛期の感染が乳房炎の原因となる可能性は、調査した範囲では高くないと考えられた。
(3) D農場の分娩牛の膣および環境からM.bovigenitaliumが検出された。これらの牛の乳汁からMpは検出されなかったが、農場内の別の牛の個体乳から検出されたM.bovigenitaliumと遺伝子型が一致した(表2)。分娩牛は生殖器にMpを保菌している可能性があり、これらの牛からの排菌は乳汁中Mpの感染源のひとつと考えられた。
(4) 導入元農場にMp乳房炎の発生が認められず、肺炎症状のないC農場の未経産導入牛の鼻汁からはM.bovis等の乳房炎主要起因Mpは検出されず、分娩後の乳汁中からもMpは検出されなかった。導入牛に起因するMp乳房炎の発生は確認できなかった。
3) 以上の結果をもとに、牛Mp乳房炎の予防および蔓延防止のためのポイントを示した(表3)。

4. 留意点
今回調査した陽性農場は乳汁からMpが検出された農場であり、乳房炎の臨床症状が認められていない農場も含まれる。





詳しい内容については下記にお問い合わせください

道総研畜産試験場 基盤研究部 家畜衛生グループ 伊藤めぐみ
電話 0156-64-0615 FAX 0156-64-5349
E-mail itou-megumi@hro.or.jp

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