災害救援航空機情報共有ネットワーク 大樹 JAXAが初の実機実験
【大樹】災害時の効率的なヘリコプターの運航管理システムづくりを目指し、独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA、本部東京)は11日、町多目的航空公園で災害救援航空機情報共有ネットワーク「D−NET」のヘリコプター実験を行った。同ネットワークの実機を使った飛行実験は初めて。(松村智裕)
JAXAによると、地上とヘリコプター間が情報交換するデータリンク機器は国内で3種類開発されているが、それぞれの互換性はない。1995年の阪神・淡路大震災以降、被災地には多くの機体が集中するため、JAXAは昨年から各データリンクを一元化し、情報を共有する「国内標準規格」の開発に取り組んでいる。
この日は患者を病院に搬送する状況を想定し、ヘリコプターと救急車に見立てた車両を使って実験を行った。実験は順調に進み、JAXAの公開研究発表会が開かれている東京の会場で、D−NETを使って機体の現在位置をリアルタイムに映し出すことに成功した。
17日には大樹町のほか、岐阜、東京の3地点で異なるデータリンクの機体を飛ばし、1つのディスプレーに表示できるかの予備確認試験を行う予定。11月に名古屋で開かれる国際学会で、3機の情報共有を飛行実験によって実証する。
JAXAは、天候不良時や過密空域での安全な運航を実現するシステムも開発中。JAXA運航・安全技術チーム次世代運航技術セクションの小林啓二さんは「D−NETは災害時の迅速な任務遂行に不可欠。数年内の実用化を目指したい」と話している。