クリエイティブという共通点~人の気配
この連載で紹介してきた人は全国の友人なので、年に一度のペースでしか会えない人も多く登場する。同じ東京に住んでいても会うのは数カ月に1回という人もいる。
そんな中、今月紹介する相沢克人さんとは、この年末も家族同士でクリスマスパーティーをして、2人で忘年会もして、新年には一緒に山に登った。プライベートで頻繁に会っている友人の一人である。こんな関係がもう15年以上も続いている。また、先週も一緒に制作をしたりと、仕事の仲間でもある。彼は絵描きであり、ドラマや映画の美術も手がける。彼に肩書を尋ねたことはないが、アートの世界にいるフリーランスの作家という認識だ。
10年ほど前になるが、僕の音楽と彼のイラストで「ひみつの森」というCD付きの絵本を出版した。良い思い出である。その他に、Tシャツなども一緒に作ってきたし、まだ情報解禁前の最新グッズも彼と製作中である。
美術作家も音楽家同様、来年同じ仕事ができているかどうかは自分次第な世界だと想像する。収入が安定することはないということだ。それでもお互いに今の仕事を続けてきたし、きっとこれからもそうするだろう。異業種ゆえに仕事の話をすることは少ないが、近くに同じように頑張っている友人がいるだけで良い。好きなことを好きでいられれば何も諦める必要はないのだ。その熱を言葉以外のところで感じながら、これからも一緒にホームパーティーをしていたい。そんな男である。
もうすぐ6枚目のアルバムが発売になるタイミングではあるが、彼と頻繁に飲むようになった頃に作った1stアルバムを聴いている。『New Song』は始まりを歌った曲である。初心忘れるべからず。
<Keishi Tanaka(タナカ・ケイシ)>
ミュージシャン。1982年大樹町生まれ。帯広柏葉高卒。Riddim Saunterを解散後、ソロ名義での活動を続け、V6への楽曲提供も話題となる。ニューアルバム『Like A Diary』を29日にリリースし、全国ツアーに出る。