農業ハウス「木造トラス補強」で積雪90センチ耐性 紺野建設「観光農園にも」
【清水】紺野建設(清水町南3ノ8、紺野将社長)は、最大90センチの積雪に耐えられる農業用ビニールハウス向け工法「木造トラス補強」を考案した。45ミリ角の木材を縦横に組んでハウス全体を支え、内部に張り巡らされた木材が温かい印象を与える。紺野宏会長(63)は「強度だけでなく、ハウスを活用したファームレストランや観光農園など意匠性からも注目してほしい」と話す。(佐藤匡聡)
細長い部材を三角形につなぎ合わせた「トラス構造」が特徴。強度に優れ、一般的には橋や鉄塔などに用いられる。
開発は、道北や道央など豪雪地帯で農業用ビニールハウスが倒壊した事故のニュースを見たことがきっかけ。「建築屋として何かできないかな」と考え、社内で検討するようになった。
「野菜作りが趣味だった父が、冬になるとビニールハウスを除雪したり、暖房で雪を溶かしたりしていたことも印象的だった。昨年春からハウスを引き継いだが、自分には無理だと思った」と紺野会長。
住宅建築の屋根部材に使う「垂木」を活用し、トラス構造の1セットを50センチ間隔で何個も配置していく。参考価格は幅5・4メートル、長さ9メートル、高さ3メートルの仕様で100万円(税抜き)。1メートル間隔で配置したり、購入者自身で施工すれば価格を抑えられるという。
既存の農業用ハウスに後付けするため、作業は現地訪問して実寸法を測り、構造計算した後、施工に進むという流れ。創業1957年と十勝で長年営んできた地場工務店だけに、丁寧な仕事も同社の特徴だ。
紺野会長は「むき出しになった木の構造材に茎やつるを伝わせて使うのもありだと思う。見た目にも楽しめるので、観光施設などでも使ってもらえれば」と話している。