映像作家の逢坂さん、地元幕別で講演 「馬橇の花嫁」6月完成披露会へ
【幕別】昭和30年代の十勝を舞台にした短編映画「馬橇(ばそり)の花嫁」を制作している幕別町出身の映像作家逢坂芳郎さん(43)。米国の大学で映画理論を学び、監督を務めた短編映画「リトルサーカス」は映画賞も受賞した。3月23日に町百年記念ホールで開かれた講演会では、「馬橇の花嫁」の完成後、6月下旬に地元で最初の完成披露会を開く構想を明かした。
逢坂さんは幕別小、幕別中、帯広柏葉高、ニューヨーク市立大学ブルックリン校映画学科卒。2022年に帯広・十勝にUターンした。講演会「私にとって映画とは何か」はNPO法人まくべつ町民芸術劇場と町教委が主催し、約280人が聴講した。
映像を撮り始めたきっかけは、中学時代に父親が勤務先から借りて逢坂さんのバスケットボールの試合の様子を撮っていたビデオカメラ。高校になって逢坂さんもイベントや友人との遊びで撮り始め、「自分が撮ったものを喜んで見てもらえるという体験を通して、映像って楽しい、と思うようになった」と語った。
大学では映画理論を学び、帰国後は東京で映像制作の仕事を始めた。多くのCMやプロモーションビデオを手掛け、13年には十勝PR映画を制作し、本格的に独自の作品作りを進めるようになった。
リトルサーカス 国際映画祭で賞
その後、友人が行っていたカンボジアでのNGO活動に参加。コロナ禍で現地のサーカス学校が閉鎖になったことを受け、子どもたちの現状を描いた映画「リトルサーカス」を制作。作品は昨年のキネコ国際映画祭(東京)で国際審査員賞を受けた。
「彼らと映画を作った後、自分も故郷で創作したい気持ちが確かになった」という。
写真に衝撃「想像かき立てられた」
「馬橇の花嫁」制作のきっかけは、帯広市の写真家荘田喜與志さん(故人)が撮影した1枚の写真だった。馬橇に乗った花嫁が写った写真を偶然目にした時の衝撃を「しばらく立ち止まった。花嫁にどういう背景があって、ここにいるのだろうと、想像をかき立てられた。世界に向けて発信できるテーマだと感じた」と振り返った。
逢坂さんは「あちこちを駆け回ってきた。何か面白そうなものがあればそこに行く、ということを繰り返してきた人生」と語った。3月にクランクアップした馬橇の花嫁は、地域の人の力を借りて撮影が終了したと感謝し、「6月下旬に、ここで最初の完成披露会をしたいと思っている」と話した。(北村里沙)
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