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浪人多い「4年制高校」~帯広柏葉高 百年物語(8)

医進類型指定校の取り組みで実施された道教委主催の「高校生メディカル講座」(2014年)

受験指導で「名門」復活
 今や押すに押されぬ道内屈指の進学校と認められる帯広柏葉高校。だが、卒業後に大学浪人する生徒が多く、「4年制高校」「柏葉では大学に行けない」と言われた時代があった。

 1990年前後、函館ラ・サール高校を進学先に選ぶ中学生が増えた。89年に十勝管内からラ・サール高に入学した男性は「大学進学の実績を考えると、柏葉では難しいと判断した。(同学年で)40人程度が十勝から進学し、地元の函館に次ぐ第2勢力だった」と振り返る。92年には道内紙に、管外高校への流出を「ぐらつく名門」との見出しで掲載され、関係者の間で波紋が広がった。

 2007年、「柏葉は本当に進学校なのか」をテーマに掲載された柏葉高新聞によると、当時は「毎朝遅刻者が100人を超えていた」「大学進学は浪人が当たり前」という状況。

進学実績の向上に力を注いだ新明さん

 84年に赴任し、08年まで24年間教諭として勤務した新明弘さん(76)=幕別町=は「進学状況は国公立大、私立大、浪人が各3分の1程度。ダイヤモンドの原石を磨かず、石のまま卒業させてしまっていた」とする。現役生の国公立大の合格者数は80年代後半、100人以下を推移。「元々自立した生徒が多かったのが、塾や親、先生たちに指示されて学力を伸ばして入ってきた生徒が増え、指導者側がその変化に対応し切れなかった」との指摘もある。

 90、92年の高校入試では2次募集が行われ、他校に落ちた生徒が柏葉高に入学した例も。危機感を持った進路指導部が主体となり受験指導に力を入れ、進学講習で添削指導などを充実。文系、理系にクラスを分けるなどの対策も行った。

 国公立大の合格者数は90年代以降増加傾向にあり、北大のほか、07年度以降は東大と京大にも現役合格者を毎年出している。新明さんは「先生たちが生徒にしっかり関わるようになり、進学実績も上がっていった」とし、バブル崩壊後の経済状況を受けた現役指向の高まりも要因とみる。

 ただ、授業時間確保のために行事が縮小され、新明さんは「柏葉らしさがなくなってかわいそうな面もあった。高校3年間をとにかく楽しむのは人生にとっては良い経験。その後に勉強を頑張るのも良かったのかもしれない」と振り返る。

 近年では08年に医学部進学の実績が認められて道教委の「医進類型指定校」となり、大学進学相談会や、OBや現役合格した3年生による柏葉塾などのキャリア教育を進める。木川田敏晴進路指導部長(49)は「自分が何に向いているのかを考え、さまざまな分野に進みたいと言える生徒が増えた。生徒たちの活躍が風のうわさで聞こえてくるような人材育成をしていきたい」と語る。(津田恭平)


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