ロック禁止で高校生音楽フェスできず 緑ケ丘公園のステージ
帯広市緑ケ丘公園内の「おびひろグリーンステージ」で高校生が開催を計画した音楽フェスが昨年と今年、騒音を理由に市から使用を断られていたことが14日、市議会の一般質問で明らかになった。市は30年以上前に開催したロックコンサートに苦情が寄せられて以降、同ステージでロック系の演奏使用を断っており、今回も該当するとの判断。ただ、他の音楽ジャンルは認められており、対応を疑問視する声が上がっている。
同ステージは野外演奏活動や集会としての使用を想定して1986年に建設。市によると、89年に開かれたロックコンサートで、近隣住民から騒音に対する苦情が約20件寄せられた。それ以降、市は使用申請時や申請前の事前相談で内容を聞き取り、音量の大きいロック系のコンサートは規制している。
一般質問で谷保寿彦氏(自民・無所属の会)は「フォークソングなどは良いのか。夜遅くまで結構な音量が出ている氷まつりは苦情が来ないのか」と他のイベントとの整合性を指摘し、「近隣住民に迷惑をかけてはいけないが、そこに施設があれば表現の場としてルールにのっとって使用する権利もある」と今回の対応を疑問視した。時間帯や音量に具体的な基準を設けて判断する考えをただしたのに対し、市生涯学習部は「具体的な音量基準を設定した上で、事前音量測定を課すことは費用面からも現実的ではない」とした。
谷保氏は、今年開催を模索した高校生から届いた文書の内容として、解決策がないか考えてくれた市職員への感謝や、「高校3年間はあっという間で、大好きな帯広・十勝で高校生にしかできない横のつながりを自らつくり上げたい」との思いを紹介。「今の高校生は与えられた条件下で最大限楽しめる方法を探す工夫ができる。若者の芽を行政がつまんでしまわないようにお願いしたい」と述べた。
市側は、高校生の思いに理解を示しながらも、「夜勤明けの人や福祉施設もあり、長時間大きな音を出すことは認められない」との立場で、今後も規制を続ける考え。
また、関係者からは「そもそも住宅街のど真ん中にステージを造ったこと自体が間違いだったのでは」との声も上がっている。(津田恭平)