藤丸閉店「まだ残念の言葉は必要ない」 ナツカシ館の参納さん、ゆかりのお宝展示
帯広市内の私設博物館「昭和ナツカシ館」(西13南12)に、今月末で閉店する市内の百貨店・藤丸(西2南8、藤本長章社長)にまつわる貴重品が並んでいる。館長の参納弘義さん(83)は、菓子店を営む実家が藤丸の近所だったため、思い入れが強い。「藤丸さんを中心に付近の商店街が発展していった。星のように輝いていた帯広のシンボル」と往時を物語る品々に思いをはせている。(松村智裕)
参納さんは1940年生まれ。幼少時の実家の住所は西2南8で、戦後に西1南12へ移ったが「子どものころは毎日遊びに行っていた。当時は藤丸にしかエレベーターがなく、それに乗るのが楽しかった」と振り返る。
同館には、参納さんが昭和時代を中心に収集した約4000点を展示。その他約2万点を収蔵している。
1900(明治33)年創業の藤丸に関連する品は30点ほど。初代社長の藤本長蔵氏が皇太子の北海道行啓時の奉迎委員として、多額の寄付を行ったことへの感謝状は11(明治44)年のもの。周年などの節目に製造された、年代の異なる三つの鉄瓶は、最も古いものが大正時代とみられ、「藤丸呉服店 新築紀念」と刻印されている。
33(昭和8)年に発行した絵はがき「風景の十勝」もある。帯広の街並みや十勝の景色などの写真が付いたはがきの8枚セットで、当時の価格の「金弐拾銭」や「帯廣町 藤丸百貨店」などが表記されている。2009年にリリースされた藤丸の応援歌「藤丸で逢いましょう」のCDもあり、店内で聞くことができる。
「藤丸は十勝の歴史に非常に関わりが深い」と参納さん。閉店は迫るが、「藤丸の再建を目指す人たちに絶大な拍手を送りたい。閉店が『かわいそう』『残念』といった言葉はまだ必要ない。復活した時に市民の皆が頑張っていくべきだ」と新たな歴史を刻むことを期待している。
同館は土・日・月・火曜、祝日営業。午前10時~午後6時。入館料は大人300円、中・高生200円、小学生100円。問い合わせは同館(0155・24・9070)へ。