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帯広のスナック「ボルガ」44年の歴史に幕

「いいお客さんに恵まれた」と感謝する高橋さん

 帯広市西2南10の石川屋ビル地下1階で、44年にわたり営業してきたスナック「ボルガ」が30日で閉店する。開店当時からママを務め、昭和から平成、令和と中心部の街並みの移り変わりを見つめてきた高橋笑子さん(76)は「年も年だし、もうゆっくりしたいなという感じ。寂しさはあるけど、いいお客さんに巡り会え、44年も働けたことに感謝している。達成感があります」としみじみ話す。(澤村真理子)

 高橋さんは20代後半で離婚を経験、女手一つで娘2人を育てるためスナック勤めを始めた。32歳で独立し、1977年に石川屋ビルのオープンと同時にボルガを開店。オープンからしばらくは女性従業員を雇っていたが、この10年ほどは1人で切り盛りしてきた。

 「お客さんは平等」を信条に、誰でも分け隔てなく接してきた。料理が好きで、チャームには乾き物や出来合いの総菜ではなく、自宅で手作りした天ぷらや煮物などを提供してきた。

 もともとお酒が飲めず、かつては来店客に合わせてさまざまな種類の酒を“ちゃんぽん”し、トイレに立つ際にふらついて転んだこともあった。客から「経営者なんだからそんな飲み方をしてはだめだ」と注意されて以来、自分で飲み物を決めるようにしたという。

 経済人の常連客が「ボルガの会」をつくって定期的に足を運んできたほか、団体の女性客にも親しまれた。時代とともにビル内の店舗が入れ替わる中でも存続してきた。

 新型コロナの感染拡大以降は店も休業を余儀なくされ、年齢のこともあり、昨年ごろから閉店を考えるように。今年5月に営業許可の更新を迎えるのを前に、年明けに閉店を決断した。

 1月下旬から今月21日までの「まん延防止等重点措置」期間も店を閉めていたため、再開した22日以降は常連客らの予約が相次いでいる。44年の月日を振り返り「長かったんだろうけど、あっという間でした。本当によく続いたと思う」と感謝を口にする。これからは趣味のゴルフや、コロナが落ち着いたら旅行も楽しむつもりと若々しい笑顔を見せる。

 営業は午後6時から。27日は休み。

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