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つながる道東道~道央直結10年(中)「物流」

音更帯広ICと、物流企業などが進出した音更町IC工業団地(音更町提供)

企業続々「中啓基地」へ 安全に輸送時間短縮
 「道東道がなければ、十勝の物流は滞り、経済に大きな影響が出ていた」。十勝地区トラック協会の梶竹征会長は、十勝を襲った2016年の台風災害時を振り返る。

災害時に「命の道」
 当時の豪雨により、国道274号(日勝峠)と国道38号(狩勝峠)の両陸路、JR北海道の鉄路が被災し、長期間不通となった。道東道も損傷を受けたが、地元建設会社の協力もあり、1日半で復旧。国道やJRの代替路として、ネクスコ東日本が通行無料の特別措置を取り、道央圏と唯一つながる「命の道」とも呼ばれた。

 道東道の道央直結は、物流にも大きなインパクトをもたらした。梶会長は「十勝の農産物をはじめ、円滑な輸送が可能となった」と意義を語る。菓子製造販売の柳月(音更)は盆やクリスマスなどの繁忙期や、悪天候や交通事故の発生時に道東道を利用する。輸送時間の短縮のほか、「道東道はカーブが少なく、道路の路面が安定しているため、ケーキなどの商品の壊れが減った」(企画開発室)とする。

 物流企業や外食産業の十勝進出にも貢献。音更町は音更帯広インターチェンジ(IC)の北側に「音更町IC工業団地」を造成し、00年に分譲を開始した。分譲区画数は03年度ごろから伸び悩んだが、道東道の整備に合わせて08年度ごろから再び増え、00年度に6社8区画だったのが、20年度は47社71区画となった。分譲率は約94%まで伸び、町商工観光課は「立地の良さや道央直結の効果が出ている」とする。

 IC工業団地への進出企業は物流系が多い。小樽や苫小牧の港に冷凍食品を運ぶ「エスワイプロモーション」(本社・東京)は元々士幌に事務所を構えていたが、立地条件などを理由に18年に同団地に移転した。帯広営業所の柏渕幸雄所長は「道央直結はメリットしかない。ドライバーの拘束時間を軽減できるようになった。人や動物が飛び出てくることもほぼないので、ドライバーの気の張り方も違う」と話す。

「料金安くなれば」
 小型車だけでなく、トラックなどの大型車の利用台数も着実に伸びている。十勝清水IC(インターチェンジ)-トマムIC間の日平均交通量は、07年度の300台から19年度は1800台に増加。ネクスコ東日本北海道支社帯広管理事務所は「大型車にも便利さを実感してもらえている」とする。ただ、料金がネックとなって、道東道の利用を控えるケースがあるのも事実。梶会長は「料金がもっと安くなれば利用しやすい」と語る。

 トラック業界では、24年に運転手の労働時間の上限規制適用を控えている。24年度の釧路方面直結や、今後の北見方面直結を見据え、梶会長は「道央圏とオホーツク、釧路方面の輸送で、十勝を『中継基地』として新しい輸送体系ができるのでは」と期待している。(津田恭平)


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