上士幌でピザ店と宿泊施設を開業へ 移住の粟田さん夫妻
【上士幌】縁を頂いた上士幌町のために貢献したい-。そんな思いを胸に大阪から移住してきた夫妻が、来春開業を目指し町上音更地区でピザ店兼宿泊施設の整備を進めている。夫は「『一生残る旅の一ページをつくれた』と言ってもらえる施設にしたい」と張り切っている。
同じキャンプ関連会社(大阪)に勤めていたMark(マーク、本名・粟田誠士=あわた・まこと)さん(37)、美咲さん(30)夫妻。2019年3月に結婚、今年7月に転居してきた。町内の不動産会社に探してもらった、ナイタイ高原近くの土地約5000平方メートルにきつね色の店舗兼住宅を建てた。マークさんは「目の前に草原や牧場が広がり、山が見える土地」が希望する土地の条件だった。
施設は「旅とピザとお宿 咲色(さいろ)~Sairo~」と名付け、町民向けメニューとしてピザを提供する。町内や十勝の道産食材を使うほか、サンマやブリなど魚を使ったピザも出す予定。キャンプ場でピザを作っていた前職の経験を生かし、「まきを使い、石窯で焼く、季節感のあるピザにしたい」とマークさん。
店周囲の木々を活用し、1日1組限定のグランピング(豪華なキャンプ)で宿泊者を受け入れる。露天風呂を設ける予定で、マークさんは「ペンションみたいな施設も造りたい」と夢は広がる。
店を囲むガーデン造りは美咲さんが担当。「十勝の四季」を意識した花畑をイメージし、「心が温かくなるような、笑顔になれるような場所を目指します」と、土地を耕す毎日を送る。
2人は19年1月、町で行われた移住体験に参加。あえて寒さの厳しい冬の10日間を町で過ごし、町の関係者らに相談を重ねた。移住先での仕事はピザ販売とグランピングサービスとし、「普通の旅行ではなく『旅をした』と言ってもらえるものを提供したい」と力を込める。
インターネットで資金を募るクラウドファンディング(CF)サイト「キャンプファイヤー」で、露天風呂やガーデンの整備、キャンプフィールド設備購入に向け出資を募っている。目標額100万円で、期限は10月10日。咲色で使える宿泊券などの返礼品を用意している。(吉良敦)