なつぞら使用、バターチャーンも 帯広百年記念館で十勝開拓企画展
帯広百年記念館で10日から、特別企画展「十勝開拓日記 史料が語る近代」が開かれる。日記や写真などから開拓や産業、観光など十勝の歴史を振り返る。NHK連続テレビ小説「なつぞら」で実際に使用した「バターチャーン」も展示される。9月23日まで。
なつぞらで十勝開拓の歴史が紹介されていることもあり、今回の展示を企画した。明治時代の十勝開拓者の日記や土地取得を記した帳簿、産業発展の礎となった雑穀取引や鉄道関連の展示品など百数十点が並ぶ。
バターチャーンは、バターを作るためのたる状の道具。十勝に現存する実物と、実物を参考にNHKが製作したなつぞら用の2種類を展示する。草刈正雄さんらが操作したなつぞら用は触ることができ、1分間に55回転させ、20分間回し続けた当時のバター作りの苦労を感じることができる。
明治時代に晩成社など小規模事業者はバターチャーンでバターを製造したが、品質の問題や売り先確保などの課題があり、成功しなかった。昭和初期になると各地に大規模工場ができ、農家から生乳を集めて一括製造し、鉄道で輸送する効率的な生産体制に移行。個別作業から大規模集約化することで、産業として発展した経過が分かる。
他にも興味深い資料は多い。1894(明治27)年に移住促進のため帯広の大通の土地が無料で提供されたが、希望者殺到で決定方法はくじ引きだった。会場には、くじで土地を取得した人の一覧表がある。
1961、62年の帯広清川小学校児童の絵日記も展示。馬から自動車へ移動手段が変化する様子が分かり、「時代を切り取った重要な史料」(同館)とする。
大和田努学芸員は「開拓者の日記はリアルタイムで記され、史料価値が高い。地域にさまざまな史料が眠っていることを感じてほしい」と話す。
入場無料。月曜休館(祝日の場合は翌日)。問い合わせは同館(0155・24・5352)へ。(池谷智仁)