アイヌ伝統のガマ採取 帯農生が体験
アイヌが日常生活や儀礼で用いていたござに使う植物「ガマ」の採取体験が10日、帯広市内の十勝川の湿地で行われた。帯広農業高校の生徒が参加し、アイヌ文化の一端に触れた。
かつてアイヌはガマを干し、ござを編んでいた。ガマの採取は男性、編むのは女性が主に担当。日常生活では敷物や窓に掛けたりして、儀礼では文様を入れて使用していたという。
同校は市民団体と共に川づくりに携わっており、この日は農業土木工学科の1~3年生21人が参加。マクンベツアイヌ文化伝承保存会(幕別)の廣川昌嘉代表、道アイヌ協会理事の小川哲也さん(本別アイヌ協会会長)から教わり、草丈1.5メートルほどのガマを鎌で根元から手際良く刈り取った。
生徒はガマのぬめりを取り、昔は食べられていたという新芽の部分も味見し、「シャキシャキでキュウリのような味。おいしい」と驚いた様子。いずれも1年の松田健心(けんしん)さん、山田優翔さん、山下颯心(そう)さんは「ガマは分厚く、軟らかいので座り心地が良さそう」と話した。
廣川代表によると、近年ガマが採れる所は少なくなっているという。本来は8月末ごろに収穫を始め、2カ月ほど乾燥させた後、冬に編む。(松田亜弓)