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北高演劇部 全国総合文化祭出場決まるも部員ゼロへ

帯広北高現部員の引退公演となった高校演劇スペシャルデイのワンシーン(1月11日、札幌市で)。昼夜2回公演で約500人が訪れた

 昨年11月の全道高校演劇発表大会(札幌)で最優秀賞に輝き、「文化系部活動のインターハイ」とも呼ばれる全国高校総合文化祭(総文祭=文化庁など主催)の出場権を得た帯広北高演劇部(多田隼脩部長、部員3人)。しかし、部員は全員3年生で7月の総文祭(佐賀県)には出られず、後を継いでその舞台に立つはずの後輩部員の確保も見通しが立っていない。総文祭への出場を決めた演劇部が、部員がいなくなり、一時的に事実上の廃部となるのは道内でも初めてという。

 舞台は放課後、学校の玄関ホール。親の迎えを待つ3年生の男子2人が、行き交う教諭や生徒を眺めながら言葉を交わす。あいさつの意味や女子の化粧…。それぞれの目線で世情を語る会話の端々で、唯一の演劇部員である「多田」が、弓道部を引退した「長崎」を演劇部に誘う-。

 帯広北高演劇部は昨年秋、十勝高校勢3年ぶりの総文祭出場を決めた。演目「放課後談話」は同校の実際の演劇部の状況を交え、顧問の加藤真紀子教諭が脚本を書いた作品。昨春、部員1人になった多田部長は、弓道部を引退した長崎凌馬さんを勧誘。当初は「地区大会出場まで」の条件だったという。

 地区大会、道大会を最優秀賞で通過したが、総文祭には出場できない現部員たち。総文祭は秋の道大会の翌年夏に行われるため、3年生は出場できない。例年、他校の場合は3年生が演じていた役や裏方を1、2年生が務めることで出場する。全国に進む部の部員が一度いなくなることについて、道高文連演劇専門部の木川田敏晴事務局長(帯広柏葉高教諭)は「2010年に鹿追高が口蹄疫(こうていえき)の影響で辞退したことはあったが、3月で部員がゼロになるのは知る限り例がない」と話す。

 今回の劇では多田部長と長崎さんが演者、舞台美術監修と音響を沼口瑚紅さん、そして照明を加藤教諭が務めた。総文祭では規定で裏方に教諭が携われないため、本番までに最低4人の部員が必要。管内のある演劇部顧問は「裏方は最低でも助っ人として、他部からでも来てくれれば覚えることは少ない。ただ、今回の劇は登場人物が2人の男子で、もし女子に演者が替われば世界観が異なってしまう」との見解を示す。

 1月には道大会で最優秀賞を得た高校が上演する「北海道高校演劇スペシャルデイ」が札幌市内で開かれ、3年生3人の引退公演となった。終了後のトークショーでは一人ひとりが感謝を口にし、多田部長は「演劇は全員が主役で(加藤教諭を含む)4人だからできた舞台。ここまで来れるとは思っていなかった。後輩にも良い化学反応が起これば」と期待を込めた。

 演劇だけでなく、総文祭は吹奏楽や書道、放送などがあり、3年生は出場できない。管内高校の文化部担当教諭は「時期については運動部の全国大会との兼ね合いもあるのでは。現在の3年生が出られないことで、全国大会だが実力的な部分での疑問はある」。別の教諭は「少子化もあり、北高のようなことが今後も起こりうるかもしれない」と懸念、今後に向けた新たな対応策を求める声もある。(松田亜弓)

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