北海道を代表する書の大家・長沼透石さん遺墨展始まる
北海道・十勝を代表する書家で、前衛作品をはじめ幅広い書表現に挑んだ故長沼透石(とうせき、本名・輝夫)さん=2015年に82歳で死去=の「遺墨展」が14日、帯広市民ギャラリー(JR帯広駅地下)で始まった。この日は長沼さんの三回忌にあたり、訪れた多くの来場者が作品一つ一つに見入り、功績をしのんだ。
十勝書文化向上に尽力
長沼さんに師事した地元の書道関係者らでつくる実行委員会(金倉大愚委員長)の主催。長沼さんは帯広市生まれで、前衛書などの書道団体「奎星会」相談役、毎日書道展参与会員などを歴任。十勝の書文化向上にも尽力し、「北の屋台」や十勝の地酒「十勝晴れ」の題字を揮毫(きごう)するなど、管内各地に作品が残されている。
今回は未発表作品を含む約130点を展示。前衛書のほか、臨書や手紙、折帖など多彩な書作品が会場を飾る。
中でも長沼さんの書が記された石碑の拓本は、「十勝川治水の碑」(帯広市東15南3、水の森公園内)「芽室町体育館前本郷新彫刻『リズム』碑文」(芽室町東3条8)など7点を紹介。石碑は長沼さんの署名が記されていないものもあり、「知られていない作品も多い」(実行委)という。
長沼さんの妻絢子さん(81)は「皆さまのおかげでこれだけのことをしていただき、感謝でいっぱいです」と話し、実行委の八重柏冬雷さんは「改めて長沼先生のすごさを感じることができた。書道を知らなくても見て感じることができると思う」と感慨深げに話していた。
会場では遺墨展の作品などを収めた遺墨集を扱っている。A4判、80ページ。3000円。
展示は19日まで。午前10時~午後6時半(最終日は午後4時まで)。(松田亜弓)