自力でプロパイロットの道開く FASフライト連盟の浅見さん
とかち帯広空港に拠点を置くNPO法人「FASフライト連盟(淡路滋弥理事長)」社員の浅見吉子さん(45)=東京都福生市在住=が、高度計などの計器のみを頼りに航空機を操縦する「計器飛行証明」資格を取得した。足掛け23年、プロパイロットへの登竜門となる事業用操縦士、多発機操縦、計器飛行証明の3資格を、専門の養成学校に通わず自分の力で手にした。
資格取得は4日。3日に口述試験、翌日は同連盟の双発機・セスナT303クルセイダーを使用して7時間にわたるフライト試験を受け、見事合格を果たした。浅見さんは「集中力と体力勝負できつかったが、合格できてすごくありがたい」と喜びをにじませた。
浅見さんは充実した練習環境を求めて2016年5月に同連盟に入会した。淡路理事長は「見た目はエレガントだが、悪天候時などでエアマンシップを発揮し、男性顔負けの集中力と強靱(きょうじん)さを見せる」と高く評価する。
浅見さんが空の世界に魅せられたのは小学校低学年の頃、航空機整備会社を経営する父親の小型機に同乗したのがきっかけ。「空は美しいが、飛べば飛ぶほど怖い場所」としながら「言葉に表せないような景色などいろいろなプレゼントがある」と魅力を語る。
大学1年生の19歳の誕生日に自家用操縦士の資格を、22歳で自家用回転翼航空機(ヘリコプター)とエンジンが2つ以上ある多発機の操縦資格も取得。大学卒業後の進路は航空関係だが、「憧れのパイロットより、キャビンアテンダント(CA)の方が楽しそう」と、CAとして日本エアシステムに入社。後にヴァージン・アトランティック航空(イギリス)でも4年間CAを経験した。
プライベートでは3人の娘を持つ母でもあるがパイロットの夢も追い続け、15年に多発機での事業用操縦士資格を取得。今回の計器飛行証明資格取得で「フルライセンサー」となった。
「幾つになっても、やりたいことがあればチャレンジしたい」という浅見さん。次の目標は航空会社の設立。「自分が操縦し、安全運行で上空のわくわく感を届けられるようになりたい」と夢を描く。
今回の試験中、機体を上昇させ雲の上に抜けたとき、きれいな虹に遭遇。大きな門のように見え「空の世界に歓迎されている」と感動したという。自宅で迎えてくれた子どもたちが「ママも頑張ったね、おめでとう!」と祝福。合格とダブルでうれしい帰宅となった。(折原徹也)