浜大樹に新たなトーチカ確認 2008年以来
【大樹】町浜大樹の海岸で旧日本軍が設置したとみられる新たなトーチカ1基が見つかった。町ではこれまでに15基を確認しており、新たなものが見つかるのは2008年以来。波による海岸の浸食で地中から現れたものとみられる。付近は崖になっており、町教委は見に行く際の注意を呼び掛けている。
見つかったのは、当縁川河口から100メートルほど南の海岸。帯広建設管理部の職員が10日に、付近の海岸をパトロールしていたところ見つけた。
高さ3・5メートル、横5、6メートルほどのコンクリートが崖から顔を出しており、中央には銃を撃つための「銃眼」らしき小窓もある。消波ブロックの切れ間にあるため、海岸浸食により崖が削られ、姿を現したものとみられる。
トーチカは太平洋戦争末期、旧日本軍がアメリカ軍の本土上陸に備えて作ったコンクリート製の防御用陣地。形は長方形状のものや多角形のものなどさまざまだが、大きいものでは幅8・5メートル、高さ1・8メートル、奥行き5・5メートルに及ぶものも見つかっている。
十勝の沿岸の海は遠浅ではなく、海岸近くまで深い海が続いていることから、米軍上陸の有力地点と想定されていた。このためトーチカが多く、約40基が作られたといわれる。
現在、町で把握しているのは、大樹で16基、広尾で10基、浦幌で4基。このうち広尾、大樹両町では一部を戦争遺跡として管理し、一般公開している。
大樹町教委では今回見つかったトーチカの管理、一般公開は予定していない。釣り人が訪れることもある場所のため、町教委は「崖付近にあるので見に行く際は十分気をつけてほしい」と呼び掛けている。(伊藤亮太)
コンクリート製の防御陣地で、ロシア語で「点、地点」を意味する。内部に軽機関銃などを備え、弾を撃つ穴「銃眼」が複数ある。