鹿追上幌内小学校でヒツジ誕生 児童が世話に奮闘中
【鹿追】子どもたちの愛情を受け、ヒツジの赤ちゃんすくすく-。上幌内小学校(小西一寿校長、児童18人)で2月、3頭のヒツジが誕生した。児童は出産に立ち会い、その後の世話も担当。2日には「命」をテーマにした全校道徳にも臨んだ。ヒツジたちの成長を見守りながら、命の尊さを学んでいる。
同校では2001年から敷地内でヒツジを飼育している。十勝管内で動物を飼う小学校は珍しく、ヒツジを育てているのは町内では同校のみ。全校児童が餌やりなどの世話をし、毎日の健康状態を書き込む「観察記録」を付けている。
子ヒツジは雌2頭と雄1頭で、いずれも2月22日に生まれた。「モモ」(雌、6歳)と、その子どもの「シロ」(雌、2歳)がそれぞれ出産した。ヒツジの誕生は、シロが生まれて以来2年ぶり。
同校で飼育していたのはモモとシロの2頭のみだったことから、繁殖のため昨年夏に、清水町のめん羊牧場から雄のヒツジ1頭を約1カ月間、借り受けた。2頭のおなかが膨らみ、妊娠が分かった今冬には、運動不足解消のため、雪をかき分けた“特製コース”をつくり、児童が毎朝散歩させた。
子ヒツジの名前は、誕生する日を見事的中させた松本侑樹奈さん(2年)、内藤智香教諭、公務補の中尾英二さんが1頭ずつ命名。松本さんは「サクラ」(雌)、内藤教諭は「メイ」(同)、中尾さんは「つむぎ」(雄)と名付けた。松本さんは「もうすぐ入学式だから。元気に育ってほしい」と話す。
2日の全校道徳では藤島浩大教諭の指導の下、児童がヒツジの誕生を通して命の大切さを考えた。生まれた3頭のほかに1頭が死産しており、そのことなどから命がなぜ大切かについて意見を出し合い、一人ひとりが「かけがえのない命とは何か」をまとめた。
この日は昼休み、子ヒツジの体重測定も行った。中尾さんの手ほどきで、竹俣佳那さん(6年)が子ヒツジを抱え、人間用の体重計で量った。腕に抱かれ、おとなしくする子ヒツジに、児童は「かわいい」「良い子だね」と声を掛け、少し増えた体重に成長を感じていた。
出産に立ち合った竹俣さんは「なかなか出てこなくて心配だった。生まれた時は感動した」と笑顔。加納光祐君(6年)は「シロが生まれた時も知っている。シロの子どもが生まれて命のつながりを感じた」と、子ヒツジの日々の成長に目を細めている。(松田亜弓)