手作りピザ配布 清水高生「まちを元気づけたい」
台風10号の大雨被害で避難や断水が長引く清水町で、清水高校(西嶋潤一校長、生徒402人)の生徒たちが「自分たちができることでまちを元気づけたい」との思いを胸に活動している。生産技術系列食品分野の生徒たちは手作りピザを避難所などに振る舞い、野球部員は目前に迫った秋季大会での白星を地元の活気につなげる考えだ。(松村智裕)
食品分野の16人 作りたて100個
生産技術系列食品分野の3年生16人は6日昼、町保健福祉センターと町役場御影支所に避難する31人に手作りピザ100個を振る舞った。
ピザは具材を入れた生地を折りたたんだ形のカルツォーネ。4日まで帯広駅周辺で開かれた「とかちマルシェ」で好評だったため、「地元で避難する人にも食べてほしい」と一念発起。前日に生地を仕込み、午前中にシーフード、ソーセージ、ベジタブル、ベーコンアスパラ、チョコレートの5種類を校内で調理し、できたてを届けた。
避難中の女性(68)は「ピザが食べたかった。どうもありがとう。頑張ります」と感謝。避難所に「おいしい」と笑顔が広がった。役場職員や給水に訪れた人らにも配られた。リーダー役を担った地元出身の瀧本優馬さんは「少しでも笑顔になってもらいたかった。喜んでもらえてうれしい」と話していた。
白星が明るい話題 野球部練習再開
野球部(櫻澤大輔監督)は10日に開幕する第69回秋季道大会十勝支部予選に向けて練習に打ち込んでいる。12日の上士幌、広尾との対戦で昨秋以来となる公式戦白星を目指す。
大会には部員8人に助っ人2人の10人で挑む。台風後は3、4日に芽室高、帯柏葉高で練習を再開。5日からは学校で汗を流している。断水中のため、自宅から水を持参している。
唯一、地元に住む卓球部の小野寺寛選手(2年)は「親が練習着などを隣町のコインランドリーで洗ってくれている。感謝し、一つ一つのプレーを大切にしたい」。同じく断水が続く新得町の小川大輝選手(1年)は「被災してかわいそうと思われないよう、周りのチームと変わらないプレーをしたい」と意気込む。
他の選手は帯広、芽室から通うがJRの運休でバス通学のため、練習時間は午後6時までと限られる。このため、各選手は帰宅後も自主練習に励む。佐藤辰哉主将(2年)は「野球部が元気を出して前に進む。勝利で清水町を明るくできたら」と力強く語った。