自然と活動した40年 今年限りで歴史に幕 森の少年隊
子どもたちが自然の大切さを楽しく学ぶ「森の少年隊」が、今年度限りで活動を終了する。中心となって運営を支えてきた畠山茂事務局長(65)が自身の体力に限界を感じるようになり、後を任せる人材のめども立っていないためだ。発足40年目の同少年隊から巣立った卒業生は約1000人。29日には、小学5年生の新入隊員5人を迎える最後の入隊式が行われる。
同少年隊は、帯広の森造成事業に伴い、森を活用する青少年の団体を作ろうと1977年に創設。森の少年隊指導委員会(高橋猛文委員長)が運営し、隊員の会費の他、帯広市からの助成金などを組み合わせて活動資金としている。
隊員は市内の小学5・6年生で構成され、月に1~2回活動。2年間の隊員期間中に桜並木の清掃やバードウォッチング、宿泊研修を行い、自然の大切さを学んでいる。760メートル続く弥生通の桜並木は約30年前から同少年隊の隊員が植えてきたもの。木を植えるだけでなく、枯れ枝を切って切り口に薬剤を塗るなど、手入れ活動も行っている。国土緑化推進機構による「緑の少年団」表彰を3度受けるなど、活発な活動は道内外から注目を集めている。
子どもたちへの指導に加え、事務局長として活動を担ってきた畠山さん。妻の八重子さん(59)とともに発足当時から同少年隊を支えてきた。しかしここ数年体調が思わしくなく「以前のように子どもたちと走り回ることが出来なくなった」と話す。
畠山さん夫妻を除いた指導員はみな20~30代。「仕事があり活動日に参加できない」「子育てで手が放せない」などの事情があり、運営を任せられるめどが立たないことから活動の終了を検討してきたが、40期と区切りの良い今年度での活動終了を決断した。
心残りは今年の新入隊員の5年生を、小学校卒業まで指導してあげられないことと話す畠山さん。「桜並木の造成、カシワやミズナラの育苗作業など、すべて子どもたちの手で行ってきた。よくついてきてくれた」とこれまでの活動を思い返して目を細める。
今年度は29日に入隊式を行い、新入隊員5人を加えた計16人の隊員が、帯広の森や札内川沿いで活動を行い、自然の大切さを楽しく学び、他人を思いやる心を育てる。畠山さんたちは最後まで、子どもたちに「森の少年隊の心」を伝えていく考えだ。
(中島佑斗)