亡き人への思いしたため 帯広の國枝さん最高位 奎星展
【東京】前衛書の最高峰「第64回奎星展」(奎星会主催)の一般公募の部D部(小品書部)で、帯広市の國枝礼子さん(58)が最高位の毎日新聞社賞に輝いた。亡き両親と、5月に死去した師と仰ぐ故長沼透石さん(帯広)への思いを込め、淡墨とダンボールで独創的な作品に仕上げた。國枝さんは「受賞は周囲と恩師のおかげ」と喜びをかみしめている。
國枝さんは5年ほど前、かちまいアカデミーの長沼さんの書道講座で書を始めた。長沼さんの死去後は八重柏冬雷さん(帯広、「楽しい書講座」主宰)に師事して週1回指導を受け、自宅でも自分のペースで書に向き合っている。奎星展では過去に入選はあったが、4回目の挑戦で今回、初めての入賞を最高位の賞で果たした。
受賞作「仁への偲(おも)い」は、6月に亡くなった父・仁一さんの名前にちなんだ70センチ四方の作品。長沼さんと親という大切な存在の喪失感と感謝を、故人にちなむ淡墨を使い、ダンボールを筆代わりにして書いた。淡墨は乾燥後は色が変わり、濃淡と段ボールの硬さを調整しながら何度もしたためた。
作品について、八重柏さんは「全体的なバランスが良く、個性と度胸がある持ち味を発揮した」と絶賛。小品書部は他部門への登竜門とされており、「自分に自信を持って挑戦してほしい」と期待する。6日まで東京都美術館で開催中の同展会場には長沼さんの遺作も展示されており、國枝さんは「とても光栄。書の楽しさ、奥深さを教えてくれた先生への感謝が伝われば」と話している。
(原山知寿子)
この他の管内関係の入賞者・入選者は次の通り。(敬称略)
▽奎星賞A部=白石弥生
▽特選A部=佐々木義徳、高橋柳泉、前崎秀子、小林紋子
▽準特選A部=足立葉子、加藤理恵、小室聡美、比企絢子
▽褒賞A部=上迫正、剣持翔伍
▽正会員および一般入選者=岩間弘子、大橋麻弥、北田歩、桑原美樹、高橋真奈美
▽一般A部=片岡勇也、十河実加、渡部梓
▽正会員D部=小川清篁
▽一般D部=石丸尚史、岩野久美子、倉口早紀子、齊藤美和、作間令子、杉江昇、高城静子、立浪政子、新阜正子、松井育子、村松典子、山本一枝、横田とき子
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