オオウバユリからでんぷん採取 幕別
【幕別】マクンベツアイヌ文化伝承保存会(小助川勝義会長)はアイヌ民族伝統の食文化である「トゥレプ(オオウバユリ)」からデンプンを採取する活動を続けている。今年も14日に町ふるさと館で加工作業を行った。
小助川会長によると、トゥレプは昔、アイヌにとって貴重な食料で、鱗茎を洗ってつぶしてこし、デンプンと繊維質に分けておかゆやオハウ(汁)に加えたほか、下痢止めなどとして活用した。同保存会は文化伝承の一環で12年前からデンプン採取を実施、この日は会員ら11人が参加した。
音更町内でトゥレプの鱗茎約30キロ分を採取した一行は同館に戻って鱗茎をきれいに洗った。鱗茎をつぶす作業は「昔ながらの方法で」(小助川会長)と、一部木製のきねと臼を使った。
つぶした鱗茎はざるでこし、デンプン汁と繊維質に分け、さらにデンプン汁を木綿でこす作業を繰り返した。初めて参加した帯広畜産大学獣医学科6年の伊藤由理さん(24)は「興味があり自分で作ったことがあったが、うまくできなかった。きょうは楽しかった」と話していた。
木綿布でこした汁、布に残った部分、ざるに残ったものをそれぞれ乾燥させると、「一番粉」「二番粉」「三番粉(オントゥレプ)」となるという。特に同保存会では製造した一番粉を今年も団子の原料とし、10月開催の「まくべつ産業まつり」会場で販売する予定。小助川会長は「後世に残るよう続けていくことが大切」と話している。(佐藤いづみ)