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羽賀男子500M「銅」初の表彰台 ワールド杯スピードスケート

【男子500メートル2回目】3位に入賞し表彰台で笑顔の羽賀亮平(右、日本電産サンキョー)。左は2位のヤン・スメーケンス(オランダ)、中央は優勝のパベル・クリズニコフ(ロシア)

 最終日は16日、明治北海道十勝オーバルで男女6種目を行い、Aクラス男子500メートルで羽賀亮平(日本電産サンキョー-日大、白樺学園高出)が35秒17で3位となり、W杯で初の表彰台に立った。優勝はリンクタイ記録のパベル・クリズニコフ(ロシア)。同女子500メートルは小平奈緒(相澤病院)が初日の1回目に続いて銀メダルを獲得、辻麻希(開西病院)は38秒44で惜しくも5位だった。李相花(韓国)はリンク新で開幕2連勝。女子マススタートは高木菜那(日本電産サンキョー-帯南商高出)が最後の直線で抜け出し2位と健闘。妹の美帆(日体大-帯南商高出)も4位に食い込んだ。イバニー・ブロンディン(カナダ)が制した。(ワールドカップ帯広大会取材班)

 Aクラス男子500メートルで及川佑(大和ハウス工業-山梨学院大、池田高出)は7位、長島圭一郎(日本電産サンキョー-日大、池田高出)は9位だった。

 男子マススタートはウィリアムソン師円(日本電産サンキョー)が6位。韓国勢がワン・ツーフィニッシュを決めた。

 Aクラス1500メートルの日本勢は、女子で高木菜那(日本電産サンキョー-帯南商高出)が、1分59秒93のリンク新で8位に入ったのが最高。男子の出場はなかった。男女ともにオランダ勢が優勝した。

 この日は27のリンク新記録が誕生。来場者は期間中最多の3414人で、3日間合計で5815人が訪れた。

【Aクラス男子500メートル2回目】大歓声を浴びながら快走、35秒13で3位に入賞した羽賀亮平(日本電産サンキョー)

5年越しメダル「最高」
 日本短距離界の次代のエースの呼び声高い26歳が、大仕事をやってのけた。羽賀亮平は2009年から5年かけてつかんだワールドカップ(W杯)初の表彰台に「最高です。ここまで来るのに非常に長かった」と笑みをこぼした。

 14日の500メートル1本目は、3位にわずか0秒08差の7位。「トップ争いができたことで逆に、悔しさを久々に感じた。地元で絶対に3位以内に入る」と強い気持ちで2本目のスタートラインに立った。最初の100メートルは9秒68。コーナーでもミスがなく、大歓声を浴びながら35秒17の好タイムでゴールした。「がむしゃらに滑ったのが良かった」と振り返った。

 今季は再出発のシーズンと位置付けている。10年のバンクーバー五輪には出場したが、今年2月のソチの座は逃した。5月下旬に右足首の捻挫で約2カ月間練習できない間に自分と向き合い、じっくりと考えた。「今までと同じことをやっていては駄目だ」。スタートなど技術の改善を図るとともに、精神面もたくましくなった。「自分が日本の短距離を引っ張らないといけないと初めて思った」と話す。所属する日本電産サンキョーの高村洋平コーチも「戻ってきてから練習での集中力が違った」と評価した。

 今後は目標としている34秒台をコンスタントに出して、世界距離別選手権でのメダルを狙う。「今大会には強豪選手が(何人か)出場していない。スタートとコーナリングでもっとうまくなりたい」と気を引き締めていた。

【女子マススタート】最終周でラストスパートする高木菜那(日本電産サンキョー、右)。銀メダルに輝いた

菜那「銀」美帆4位 女子マススタート
姉妹で好成績 「作戦通り」

 4年後の韓国・平昌(ピョンチャン)五輪での正式種目候補のマススタートで高木菜那が2位、妹の美帆が4位と好成績を収めた。20人で一斉にスタート。16周のうち、4、8、12周目通過時の1~3位にそれぞれ5、3、1ポイント、ゴールでの1位に60、2位に40、3位に20の各ポイントが付き、トータルの獲得数で競う。集団での駆け引きもあり、戦略性も求められる。

 この日はレース前に作戦を立てた。美帆が通過ポイントを稼ぎ、有力選手が逃げた場合には自分の足の余力を捨てでも追う役割を担い、菜那は集団の中に入り体力の消耗を抑えて順位を狙った。美帆は4周目でトップ、8周目は2位、12周目は3位となり「作戦通りにできた。最後は姉に託した」と話した。菜那は、同種目を得意とするイレーヌ・シャウテン(オランダ)をマーク。優勝が3人に絞られた最終コーナーで接触して、ひやりとする場面もあったが、シャウテンを抜いてゴールした。「美帆が良い仕事をしてくれた。次はサポートしたい」と笑った。菜那は3時間前の1500メートルでも「力まずに自分の滑りができた」と8位に入った。3日間で5レースをこなすタフさも、地元のファンの前で示した。

【Aクラス男子500メートル】7位に入り健闘した及川佑(大和ハウス工業)

及川7位、長島9位
スタート最速も表彰台に届かず 及川

 ○…「一からやり直さないといけない」。Aクラス男子500メートルの及川佑は危機感いっぱいにつぶやいた。

 得意のスタートダッシュから100メートル通過は9秒61で出場者最速。35秒35は優勝した全日本距離別選手権とほぼ変わらない悪くないタイムだ。それでも7位で表彰台に上がれなかったため、「地元での声援はありがたかった。情けないし申し訳ない」と厳しい表情を崩さなかった。一つずつ課題を修正して世界の上位へ、巻き返しを誓った。

【Aクラス男子500メートル】9位に終わり、納得いかない表情の長島圭一郎(日本電産サンキョー)

上がり振るわず「スタミナ不足」 長島
 ○…Aクラス男子500メートル2本目で長島圭一郎(日本電産サンキョー-日大、池田高出)は、得意のアウトスタートイン上がりも振るわず8位に終わり「力不足。スタミナが足りなかった」と淡々とレースを振り返った。

 次期五輪へのスタート年となった今季は「イージーにいっている」と話すように、ガツガツとしているわけではないが、悩みどころは尽きないよう。「今はインスタートのコーナー入り口がイップス(思い通りにできない状態)。羽賀の3位? 自分のことが精いっぱいで」と足早に取材ゾーンを後にした。

2年ぶりの帯広成長した姿披露
男子500B6位・フェルバイ

 ○…日本とオランダのハーフのカイ・フェルバイが成長した姿を見せた。明治北海道十勝オーバルで開かれた世界ジュニア選手権以来、2年ぶり2回目の帯広。20歳の今季、層の厚いスケート王国オランダのシニアのナショナルチーム入りを果たした。「4年後か8年後のオリンピックを狙う」と張り切っている。

 この日はBクラス男子500メートルで35秒85をマークし6位。180センチを超える長身に長い足を生かした大きい滑りが特徴だ。来週の第2戦の韓国では得意の1000のAクラスで出場する。母が日本人で、日本国籍も持っている。「日本人は才能のある選手が多い。特にフォームがきれいで学ぶことは多い」と流ちょうな日本語で話した。

力入りすぎた
Aクラス女子500メートル15位、郷亜里砂(イヨテツクラブ-山梨学院大、白樺学園高出)の話

 最初の100メートルは安定してきた。きょうも同走を追える良い位置にいたが、力が入りすぎた。第2戦の韓国も含めてどのリンクでも38秒台を出せる力をつけたい。

韓国で表彰台を
Bクラス男子500メートル5位、長谷川翼(日大-白樺学園高出)の話

 100メートルは体が動き、まあまあ。コーナーが特に悪かった。Aクラスに上がりたかったが、課題をしっかりと修正して、次の韓国で表彰台に上がりたい。

若手に負けない
同男子1500メートル17位、今野陽太(開西病院)の話

 300メートルまではそれほど足(の力)を使わずに理想的な滑りができた。後半戦のW杯にフル参戦できるように、練習やレースで全力を尽くして、若手に負けないように頑張りたい。

【Aクラス女子500メートル】38秒44の好タイムを出した辻麻希(開西病院)。レース後、笑顔で観客に手を振る

辻5位、小平2位女子500A
故郷で大声援「結果残せた」 辻

 ○…W杯2個目のメダルにあと0・11秒届かなかった。女子500メートルの辻麻希は、最終組の李(韓国)と小平に抜かれて5位に。それでも故郷での大声援の中、今季最高をマークしたこともあり「ちょっとはいいところが見せられたと思う」と笑顔を見せた。

 持ち味を出した。最初の100メートルを10秒44と出場者中最速をマーク。1回目は出だしで氷に足を取られて失速しただけに「スタートだけは-」と集中力を増して臨んだのが奏功した。

 課題とする100~500メートルのラップタイムで28秒00と、上位陣が軒並み出していた27秒台に突入できなかったことを残念がったが、「これが今の実力。ただ失敗をひきずらず結果を残せたのは良かった」と前向きな姿勢を崩さず、次の韓国・ソウル大会に視線を向けていた。

【Aクラス女子500メートル2回目】同走で優勝したの李相花(韓国・右)と健闘をたたえ合う2位の小平奈緒(相澤病院)

五輪へ冒険の年メダルに手応え 小平
 ○…女子500メートルで、小平奈緒が1回目に続き、2位と連続で表彰台に乗った。

 五輪で2大会連続金の李相花(韓国)と最終組での一騎打ちだった。ただこの日は、約2時間前に1500メートルを滑走したばかりで、疲れが残っていた。スタートの100メートルこそ李と10秒47で並んだが、バックストレートの加速で分が悪かった。

 次期五輪へ向け1年目の今季は「冒険の年」としながらも、「自分の滑りの80%に近づいている」と今回の2個のメダル獲得について納得の表情。「外国勢はジェットラグ(時差ぼけ)があったが、それを差し引いても良かった」と声も弾んでいた。


(7位以下関係分)
【男子】
◇500メートル2回目

▽Aクラス

世界記録  ジェレミー・ウォザースプーン(カナダ)34秒03
日本記録  加藤 条治(日本電産サンキョー)34秒21
国内最高  加藤 条治(日本電産サンキョー)34秒64
リンク記録 加藤 条治(日本電産サンキョー)34秒96

(1)パベル・クリツニコフ(ロシア)34秒96=リンクタイ記録
(2)ヤン・スメーケンス(オランダ)35・09
(3)羽賀 亮平(日本電産サンキョー-日大、白樺学園高出)35・17
(4)ルスラン・ムラショフ(ロシア)35・23
(5)牟  太釩(モ・テボム)(韓国)35・261
(6)エスペン・アーネス・フバメン(ノルウェー)35・267
(7)及川佑(大和ハウス工業-山梨学院大、池田高出)35・35
(9)長島圭一郎(日本電産サンキョー-日大、池田高出)35・39
(20)山中大地(電算)35・94
▽Bクラス
(1)アルチョム・クズネツォフ(ロシア)35秒50
(2)金  俊昊(韓国)35・52
(3)李  康奭(イ・ガンソク)(韓国)35・55
(4)牟  鐘声(中国)35・66
(5)長谷川 翼(日大-白樺学園高出)35・76
(6)カイ・フェルバイ(オランダ)35・85

◇1500メートル
▽Aクラス

世界記録  シャニー・デービス(米国)1分41秒04
日本記録  中村 奨太(ロジネットジャパン)1分44秒99
国内最高  杉森 輝大(吉羽木材)1分47秒49
リンク記録 スベーレ・ルンデ・ペデルセン(ノルウェー)1分49秒14

(1)キエルド・ナウス(オランダ)1分45秒97
(2)オウター・オルデフーフェル(オランダ)1・46・52
(3)クン・フェルバイ(オランダ)1・46・90
(4)デニー・モリソン(カナダ)1・47・05
(5)シャニー・デービス(米国)1・47・34
(6)コンラド・ニエシビドスキ(ポーランド)1・47・39=13位までリンク新
▽Bクラス
(1)李  佰林(中国)1分48秒44
(2)李  承勲(韓国)1・48・90=以上リンク新
(3)アレク・ジャンセンス(カナダ)1・49・46
(4)金 ミンソク(韓国)1・49・47
(5)ブラム・スモーレンブルク(オーストリア)1・49・87
(6)コンラド・ナジ(ハンガリー)1・49・93
(10)中村奨太(ロジネットジャパン)1・50・33
(11)小田卓朗(早大)1・50・34
(14)ウィリアムソン師円(日本電産サンキョー)1・50・91
(17)今野陽太(開西病院)1・51・22
(24)山中大地(電算)1・55・48

◇マススタート
(1)李  承勲(韓国)60(8分16秒99)
(2)金  哲民(韓国)40(8分17秒23)
(3)バート・スィングス(ベルギー)20(8分17秒28)
(4)アレクセイ・バウンガートナー(ドイツ)8(8分26秒57)
(5)パトリック・ベッカート(同)5(8分20秒62)
(6)ウィリアムソン師円(日本電産サンキョー)5(8分24秒14)
(19)土屋良輔(専大)0(8分24秒23)

【女子】
◇500メートル2回目

▽Aクラス

世界記録  李  相花(韓国)36秒36
日本記録  小平 奈緒(相澤病院)37秒29
国内最高  小平 奈緒(相澤病院)37秒87
リンク記録 ジェニー・ウォルフ(ドイツ)38秒03

(1)李  相花(韓国)37秒92=リンク新
(2)小平 奈緒(相澤病院)38・06
(3)バネッサ・ビットナー(オーストリア)38・33
(4)マホ・ブア(オランダ)38・447
(5)辻  麻希(開西病院)38・449
(6)オルガ・ファトクリナ(ロシア)38・49
(10)住吉都(ローソン)38・85
(15)郷亜里砂(イヨテツクラブ-山梨学院大、白樺学園高出)39・09
▽Bクラス
(1)朴  勝義(韓国)39秒05
(2)アンゲリナ・ゴリコワ(ロシア)39・19
(3)張   美(韓国)39・29
(4)李  ボラ(韓国)39・32
(5)ユリヤ・コジレワ(ロシア)39・35
(6)ヘザー・マクリーン(カナダ)39・51
(9)黒岩美生(日体大)39・94

◇1500メートル
▽Aクラス

世界記録  シンディー・クラッセン(カナダ)1分51秒79
日本記録  田畑 真紀(ダイチ)1分54秒28
国内最高  菊池 彩花(富士急)1分58秒12
リンク記録 田畑 真紀(ダイチ)2分0秒18

(1)イレイン・ブスト(オランダ)1分56秒93
(2)マリト・リーンストラ(オランダ)1・57・76
(3)ユリヤ・スココワ(ロシア)1・58・10
(4)イダ・ニョトン(ノルウェー)1・59・06
(5)マライエ・ヨリング(オランダ)1・59・09
(6)リンダ・デフリース(オランダ)1・59・32
(8)高木菜那(日本電産サンキョー-帯南商高出)1・59・93
(9)小平奈緒(相澤病院)2・0・14=10位までリンク新
(12)菊池彩花(富士急)2・0・29
▽Bクラス
(1)李  奇時(中国)1分58秒95=リンク新
(2)メリッサ・ベイフェ(オランダ)2・0・26
(3)趙   欣(中国)2・1・74
(4)押切美沙紀(富士急-駒大苫小牧高、中札内中出)2・3・09
(5)エレナ・ペーテルス(ベルギー)2・3・25
(6)金 ボルム(韓国)2・3・39
(11)樋沙織(日本電産サンキョー)2・5・88

◇マススタート
(1)イバニー・ブロンディン(カナダ)61(8分33秒24)
(2)高木 菜那(日本電産サンキョー-帯南商高出)40(8分33秒44)
(3)イレーヌ・シャウテン(オランダ)20(8分33秒54)
(4)高木 美帆(日体大-帯南商高出)9(8分39秒11)
(5)リクスト・メイヤー(オランダ)5(8分36秒70)
(6)マルティナ・サブリコバ(チェコ)3(8分35秒32)


◆ISUワールドカップスピードスケート帯広大会について
大会の概要(英語)-大会公式ホームページ

随時情報発信中、日本人選手の動画もあり(日本語)-大会公式Facebook

関連写真

  • スケートのワールドカップ第1戦帯広大会の最終日、Aクラス男子500メートルで3位に入り、羽賀亮平選手(日本電産サンキョー)が表彰台の上で花束を掲げる(16日午後5時25分、金野和彦撮影)=関連記事15面

    スケートのワールドカップ第1戦帯広大会の最終日、Aクラス男子500メートルで3位に入り、羽賀亮平選手(日本電産サンキョー)が表彰台の上で花束を掲げる(16日午後5時25分、金野和彦撮影)=関連記事15面

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