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あす日朝協議、「再会へ最後のチャンス」帯広の鳥海さん

姉家族3人の写真を手に、「これが最後のチャンスかもしれないだけに、期待は大きい」と語る鳥海さん

 北朝鮮による日本人拉致問題で、拉致被害者の再調査に向けた日朝協議が7月1日に北京で開かれる。1974年に福井県小浜市で拉致されたとみられる高敬美(きょうみ)さん(行方不明当時6歳)と高剛さん(同3歳)の姉弟(きょうだい)の叔母で帯広市在住の鳥海冏子(けいこ)さん(70)は、日朝協議の行方に注目する十勝では数少ない関係者の一人。「2人の無事が確認され、再会につながってほしい」-。協議の成果を強く望む心境を語っている。

 特定失踪者問題調査会などによると、姉弟は、鳥海さんの姉の渡辺秀子さん(同32歳)と、在日朝鮮人で北朝鮮の工作員とされる夫との間に生まれた。夫が当時勤務していた都内の貿易会社が北朝鮮の工作機関とされ、夫が突然失踪した直後の73年6月、渡辺さんと姉弟の家族3人が監禁され、姉弟は74年6月に小浜市の岡津海岸から拉致されたとみられている。

 渡辺さんについては、工作員に監禁、殺害されたとの説もあり、現在も真相は分かっていない。ただ、幼かった姉弟は拉致された可能性が高く、警視庁などは2007年4月、拉致容疑で捜査本部を設置、捜査が続く。

 姉弟は、北朝鮮籍のため拉致被害者支援法の対象にはなっていない。消息不明から40年の間、何の情報もないまま過ごしてきた鳥海さんの心配は、いらだちへと変わっていた。だが、今回協議では、2人がいち早く安否確認されるかもしれないとの観測もある。日本政府の拉致問題への姿勢が最近、積極化してきたと感じ「今までで一番期待が大きい。私も年齢を重ねており、これが最後のチャンスになるかもしれない」と受け止める。

 ただ、過去の協議では、北朝鮮側が一方的に合意を破棄したり、日本側にあいまいな情報を伝えたこともあった。「決して安心はできない。日本側が毅然(きぜん)と協議を進めなければ、問題解決は前進しない」とも感じている。

 「再会を果たし、抱きしめてあげたい」。鳥海さんが何よりも望む結末だ。40年以上前、毎年夏に姉家族が帯広の実家を遊びに来て、一緒に七夕祭りに出かけた記憶が鮮明に残る。「2人は日本語を話せないかもしれないし、成長した今の姿も想像できない。でも、心配し続けてきた思いの全てを注ぎたい」。

 姉の安否もいまだに諸説あり、「残された家族は、どう受け止めたらいいか分からず葛藤してきた。2人との再会によって話を聞き、長年抱え続けた思いにも答えが出せるかもしれない」と切実な思いを寄せている。(杉原尚勝)

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