帯広の山本正広さん初入選 国際写真サロン
国内外の写真愛好家を対象にした「第74回国際写真サロン」(全日本写真連盟など主催)に、帯広市在住の山本正広さん(64)が初入選した。国内外から8805点の応募があり、入賞・入選130点の中で道内からの受賞は山本さんただ一人。山本さんは「本当に驚いた。自分の思いを伝えられるよう、さらに技術を磨きたい」と喜んでいる。
同展は1927年に始まり、国内最高峰といわれる写真公募展の一つ。海外40カ国からの応募があり、全日本写真連盟の田沼武能会長らが審査員を務め、審査委員特別賞6点、124点の入選が決まった。
山本さんは2011年の定年退職後に写真を本格的に始めた。もともと写真を見るのが好きで、勤めていた印刷会社では、観光パンフレットなどに使う予定の写真の選定も行っていた。写真展示会に足を運ぶことも多く、定年を機に、気軽な気持ちでカメラを手にした。
「レンズやカメラの仕組み、物の捉え方。見るのと撮るのは全く違った」(山本さん)と苦労しながらも、NPO十勝文化会議の写真部会に所属し、研修で腕を磨いた。風景やドキュメンタリー写真を得意とし、12年には帯広市内で初個展を開いた。
入選作品「碧氷」は、豊頃町の十勝川河口付近で2月、打ち上げられた氷が朝日に照らされた瞬間を捉えたもの。氷点下20度の厳しい寒さの中でシャッターを切った。氷の美しい断面が印象的だ。何度も現地に通い、腰まで埋まる雪原を歩いたという山本さんは、「断面を強調するよう工夫した。デジタルカメラは画像処理ができ、自分の思いを強調した」と話す。
大規模な写真公募展に出品するのは初めてという山本さん。「十勝には素晴らしい素材がたくさんあるが、若い写真家が少ない。少しでも刺激になるとうれしい」と話している。
4月から全国12都市で巡回展が行われ、全入賞・入選作品が展示される。北海道は9月24~28日、札幌市教育文化会館ギャラリーで予定。(山岡瑠美子)