村田さん夫妻の食育活動つぶさに 初の著書5日に全国発売
帯広市の村田歩さん(79)とナホさん(77)夫妻が15年間にわたって取り組んできた子供たちへの食育活動の実践を紹介した著書「子供が変わる!奇跡の料理教室」(東邦出版)が5日、全国発売される。2人は「活動を一つの記録にできて大変うれしい。食べることは生きる力。これからも(食と命の大切さを伝える)種をまいていきたい」と話している。
元中学校社会科教諭の歩さんと元高校家庭科教諭のナホさんは退職後の1997年から2012年まで小学生対象の料理教室「ぼくとわたしの楽しいクッキング」を市内で開講してきた。
ナホさんが指導する調理実習後に、歩さんがお手製のプリントを使って食材にまつわる文化や歴史などについて講話する「お料理の社会科」を組み合わせたユニークな取り組みで、“卒業生”は延べ2100人に上る。中には調理師や管理栄養士として活躍する人も。
昨年夏、インターネットで夫妻の活動を知った東京のライターから村田さん宅に電話があり、本の出版について打診があった。ナホさんは「『まさか』と信じられなかった」と振り返る。
同書では、教室での活動を通し、子供たちが食材に興味を示し、食と命の大切さを学び、成長していく姿がつづられている。料理を通じて自信を付けたり、人を思いやる気持ちを持てるようになったりした子供たちの変化も描かれる。夫妻への取材と、ナホさんが毎回の料理教室での出来事や子供たちの様子を詳細に記したメモなどを元にしてライターが執筆した。
「社会科と家庭科の教師だった私たちのこと」「子供が変わる!奇跡の料理教室」「親子で一緒に作ってみよう」の3章で構成され、卒業生の母親の声の他、最終章では教室で調理してきたメニューのレシピ(24種類)と歩さん手作りの「お料理の社会科」で使用したプリントが収録されている。
昨年からは帯広ひまわり幼稚園の保護者からの依頼で、毎月1回、親子料理教室「食の玉手箱」を開いて“種まき”を続ける夫妻。ナホさんは「子供たちには(伝えたいことが)ちゃんと伝わっている。若さと元気をもらっている」と笑顔を見せる。
初版5000部発行。195ページ、1500円(税別)。(澤村真理子)